(Short Term 12/ 2013年アメリカ)
Amazon プライムにて鑑賞。映画をみてひさしぶりに感想を残したくなったので。
問題を抱えた10代の子供たちを預かるグループホーム「ショート・ターム12」で
ケアマネージャーを務めるグレイス。
彼女は同僚のメイソンと長く恋人関係にあり、
ある日彼との子供を妊娠していることがわかる。
彼に素直に気持ちを打ち明けられず、すぐに中絶の予約をいれてしまう。
グループホームでは、自傷の経験のあるジェイデンを受け入れる。
グレイスは、ジェイデンが父親から虐待をうけていることを見抜く。
恋人との子供の妊娠やジェイデンの存在をとおし、
グレイスは自分の壮絶な過去と向き合うことになる。
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グループホームには、大学を休学して職場体験にきたネイトという青年がいる。
ネイトは自己紹介をする際に、「恵まれない子供たち」という言葉を使い
みんなを困惑させてしまうが、
ふいに私自身もどちらかといえばネイト側の人間ではないか、と思わされた。
物語では、「心に深い傷を負った」グレイスが、
子供たちを理解し、彼らとぶつかり、それでも信頼を得ていく様子が描かれる。
このことは、彼女自身が子供たちと同じ境遇だからこそ、
可能なのではないかという気がしてくる。
彼女がまだ若いことからも、単に経験から裏打ちされている
わけではないだろうことがうかがえる。
私は「あなたはどうせ恵まれているから」と言われることが
これまで少なからず、あった。
恵まれているために、そうでないひとの気持ちなんてわからない、と。
以前はそれに抗いたい気持ちがあったものの、
そうしたところで思い浮かぶ反論はどれもすぐに消えてしまう。
そして実際に、「気持ちがわからない」のはほんとうなのかもしれない、と
思うことが、大人になって仕事をするようになってから、何度もあった。
そのような「わからない」という気持ちとうまく付き合うことこそ
重要なのかもしれない。
親や家庭環境を選んで生まれてくることはできない、
それはみんな同じなのだから。