2014/01/18

1月前半の鑑賞リスト

新年からWOWOWではウェス・アンダーソン監督祭りがあり、何作か見逃してしまったものの以下の最初の2作品を観てその世界観にはまってしまいました。また、念願の「天使の分け前」も観ることができました!


「ムーンライズ・キングダム」 (Moonrise Kingdom. 2012. アメリカ)

ツイッターを見ているとなんとなく評判が良さそうで、だからこそ何の前情報もなく録画して観てみたらオープニングからどんどん引きこまれてしまいました。
カメラの回し方、タイトルの出し方、人物の画面上での配置のしかた、話の展開。映画製作のことはよく分からないけれども、撮っている側も楽しそう。

シュールな映画はもともと大好きなので、これも例にもれず。

キャストも豪華で、ブルース・ウィリスなんてこんな役今まであったっけ?と思えるような好演ぶり。その他も、エドワード・ノートン、ティルダ・スウィントン、フランシス・マクドーマンド、ジェーソン・シュワルツマン、ウェス・アンダーソン監督作に常連のビル・マーレイ。主役の子供2人は全くの新人なのに、彼らベテラン勢が脇を固めています。こういうキャストの構図もどこか好きです。

特にどんでん返しもなく、ラストの展開には思わず笑ってしまいました。主役の女の子のファッションがどことなくラナ・デル・レイを連想させて印象的。男の子は話し方に癖があって、風変わりな男の子をとても上手に演じていました。

こういう、テンポがゆるいながらも色彩がはっきりしてシュールな世界観をもった映画は実にアメリカらしいと思います。うまく言えないけれど、少なくともイギリス映画だったらぼんやりしててカサカサしているイメージ。どちらも同じくらい好きですが。


 
 
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」 
(The Royal Tenenbaums. 2001. アメリカ)
 
私にとってのウェス・アンダーソン監督作、第2弾。またまたカラフルでシュールな世界観を展開しています。
 
結論から言うと、「ムーンライズ・キングダム」とは違ってこの作品の人物にはあまり共感できませんでした。子供が中心となっている映画が好きなんだなあと思います。
 
まあ、それは個人の感想にすぎないわけで。オープニングから、これこそウェス・アンダーソン!と思えるような要素が散りばめられていて、「ムーンライズ~」を観た直後の身としてはわくわくせずにはいられませんでした。
 
この作品で個人的にツボだったのは、ベン・スティラー、ルーク・ウィルソン、グウィネス・パルトロウが兄弟を演じていたところ!(グウィネスは養女、という設定でしたが。あまりそれについては詳しく説明されていなくて、そこがまたいいなあと思います)
今では実現しないだろうなあ。それ以上に、この顔触れを難なく家族にしちゃうところがすごい。またそのグウィネスの夫役がビル・マーレイなのも笑えました(笑)そしてそして、ルーク・ウィルソンがすごく引き締まってて、マルーン5のアダムみたいに見えました(たぶん気のせい
 
先程も言ったように本作の人物やストーリーはあまり好きになれなかったのですが、グウィネスのファッションは一見の価値あり!かと思います。本当に可愛い。性格は意味わからないけれど。


 
 
「天使の分け前」 (The Angel's Share. 2012. イギリス)
 
このポスター!このテーマ!を見た日から気になってしかたがなかった作品。
人生で初めてのホームステイ先って、他人には理解してもらえないほど思い入れが強くなりますよね、自然と。スコットランド、また行きたいものです。
 
どうしようもないダメ男が一世一代の賭けにでる、という、話はありふれているものの描き方は面白かったです。主人公のロビーの詳しい事情や家族のこと、恋人との出会いなど、ほとんど詳しく触れられなかった点もなんだかリアルでした。
 
映画を観ながら人物のアクセントを聞くのが実は趣味の一つなのですが、本作のスコットランド訛りは正直すごくきつくて途中で酔ってしまいました(笑) 特に舞台はグラスゴー。グラスゴー訛りはきつくて速くて何言っているのかよくわからんwとエディンバラで会ったバスの運転手さんが言っていました。途中で出てきたワイン・セラーの男性はスコットランド人ではないのでしょう(ロンドンだったかな?)、英語が聞き取りやすく感じられました笑

彼らがやったこと、正直言って「それ、どうなの?」と思うこともあったものの、ラストは実に爽やかでした。スコッチ・ウィスキー、スコットランドで体験したときはなめることしかできなかったけれど、味のわかる大人になりたいものです!

ゼロ・グラビティ


「ゼロ・グラビティ」 (Gravity. 2013. アメリカ/イギリス)

卒業論文も無事に提出したので、先月から待ち望んでいた「ゼロ・グラビティ」をようやく観てきました。

★鑑賞の決め手:評判の良さ・圧倒的な映像美

珍しく、というかすごく久しぶりに吹替えで観たのですが、違和感はなかったです。むしろ吹替えでよかったのかもなと。初っ端から圧倒されまくりで、処理しきれませんでした(笑)

アカデミー賞でも作品賞ほか多くの部門でノミネートされましたね。
宇宙を再現したという点で「完全なる作りもの」である本作の受賞は難しい、と映画好きな大学教授が言っていたのですがどうでしょう。

<!ここからネタバレ注意!>

何と言っても、サンドラ・ブロック演じるライアンが地球への上陸に成功したあとの描写が秀逸でした。

ラストは本当に、それまでこの映画が描いてきた世界観を身をもって体験してきたからこそ見えてくるものを一気に、これでもかと見せつけられたような印象。地球に降り立ってからの描写はほんの数分...でもこれがなければ「ゼロ・グラビティ」はただのパニック映画だったのではないかと。

それより前の宇宙空間の描写は、本当に視覚的に訴えかけてくるようなものがありました。3Dであったから余計に、人物が宇宙空間でもがいているのにつられて自然と体が強張ったり、ときには宙に浮いたようになったり。息苦しくなったりもしました。

そしてラストでは、感覚的に、「重力って、地球って、素敵だ」と迫るようなものがありました。地面に手をつき、笑顔をこぼすライアンを見て、同じように文字通り地に足をつけているその自分の足が、じわじわと震えるようでした。

そこからの、

GRAVITY

とタイトルがどんと出てくる流れに胸がいっぱいに。映画、映像の力とはこういうことを言うのではないかと、その内容はうまく言葉にできないながらもそう確信しました。

これは機会があればまた観たいですね。
まだ観ていない人がいたら、ぜひ劇場で!と言いたいです。

ひとつ難点を挙げるとすれば、ライアンの亡くなった娘のエピソードはちょっとなあ...と。ライアンにとって宇宙から地球へ生きて帰るための動機としては、それくらいしかなかったのかなと思わされました。