2018/07/15

セイフ・ヘイヴン


 Safe Haven / 2013


ボストンから、はるばるアメリカの南部の小さな港町サウスポートへとやってきた女性ケイティ(ジュリアン・ハフ)。そこで新たな生活を始めた彼女は、数年前に妻を亡くして以来、男手ひとつで2人の子供を育てるアレックス(ジョシュ・デュアメル)と出会い、惹かれ合っていく。近所に住む女性ジョー(コビー・スマルダーズ)とも仲良くなり、平穏な日々を過ごすケイティ。ところがある日、アレックスは彼女が全国で指名手配されていることを知り、動揺するが....

原作は『きみに読む物語』などのニコラス・スパークス、監督はラッセ・ハルストレム。めずらしく恋愛映画でも、と思ってレンタルしてきた。恋愛映画はあまり観ないので、ニコラス・スパークス原作の映画はこれが初めてとなった。

中盤までは、「ジョシュ・デュアメル好きだったらおもしろいかな~~」とぼんやりと観ていたが、真実が明らかになってからラストまでは目が離せない展開に。

そして、やっと平和を取り戻したかと思いきや、最後の最後にもっとびっくりな展開に。

と初見は驚かされてばかりで、また最初から観たくなる作品だったが、落ち着いて振り返るとやや詰めこみすぎでは?とも思わされた。映画だからこそ、それはそれで楽しめるからいいのだけれど。

※ここからネタバレ含みます。 




映画を観て「えっっ、」と声を上げてしまったのは久しぶりだった。
というのも、ケイティを執拗に追いかけていた刑事が彼女の夫だとわかった場面。

しかもその夫、ケヴィンは、最初はクールな敏腕刑事風だったが、徐々に異常な行動が目につくようになり、「ただ仕事熱心...なのか?」と思いきやよく飲んでいた瓶の中身はアルコール。
やっとケイティを見つけたころには哀れなほどダメ男と化していて、最後はビョーキ男に。俳優の演じ分けが見事だった。なぜか説得力があったもの。

番外編として、ケイティとケヴィンの出会いから関係の崩壊までを描いた作品がちょっと観たい気もした。逆を言えば、ケイティが最後までどういう女性なのかよくわからなかったから。 原作はどこまで描いているのだろうか。

2018/05/22

2018年5月鑑賞リスト

今月は劇場映画を2本!
よく行く映画館とその周辺が, アメリカの寂れた田舎町みたいだということに気づいて少しだけにやついてしまった. ちなみにアメリカへ行ったことはない. でも映画でたくさん見てる. はず.

『君の名前で僕を呼んで』
はじめてこの映画のことを知ったときはタイトルに「?」と思い,
それが原因ではないけれど内容も知らないまま何となくスルーしようとしていた.
なぜ観ようと思ったのか今では忘れてしまったけれど, 観て大正解!
まずはオープニングから「ただの映画ではない感」が一気に押し寄せる.
舞台そのままの80年代に制作された映画なのかと思った.
主人公エリオとその家族の生活があまりにも優雅で自由でうらやましい.
お父さんの最後の言葉が胸にじわじわ染みていく.
すばらしい映画体験だった.
あまりのすばらしさに現実に戻るのがつらい, と思ってしまう.
アーミー・ハマーが「ラブシーンより恥ずかしかった」と言っていたらしい彼のダンスシーンは必見である.

『アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル』
前述の『君の名前で~』を観たとき, この作品の予告編にお目にかかった.
どこからどう見ても「キツそう」な映画だという印象で, 観たらいろいろと吸い取られて疲れそうだな~と敬遠していたものの,「やっぱり観たい!映画!」と思い直し鑑賞.
これでもかというブラックコメディーだったものの,不思議と疲れなかったのはテンポの良さとキャストの熱演のおかげかな.
今作でゴールデングローブとアカデミー助演女優賞を獲ったアリソン・ジャネイ(『ジュノ』のあのお母さんと同一人物とはとても思えない)はさることながら, それ以上に無冠なのが納得できないほどエネルギッシュで目に焼きつくような演技を見せたマーゴット・ロビーが!すごかった!
事実は小説よりも奇なり.
エンドロールが粋だなと思いました. ほぼ事実を扱いつつも, 映画らしい映画.

★強烈な母親がトーニャに言った言葉
Hey! Kiss your mother goodbye.
kiss someone goodbye : to kiss someone when you leave or when they leave you
(Macmillan Dictionary etc.)
そのままの意味だが, kiss goodbye to someoneと言い換えることはできないだろう. goodbyeはkissの目的語ではなく, 副詞的なのかな?
また, イディオム的で皮肉的な以下のような意味もあるようだ.
to lose or end something, especially suddenly; to be forced to accept such a loss or end
(Example) 
You were caught drinking on school property? Well, you can kiss your brand new car goodbye, mister! (The Free Dictionary)

あとはどういうわけか(というか研究のためなんですが)『ワイルドシングス』を観て, どんでん返しの連続に最後は食傷気味に.
私はマット・ディロンを最初に見たのがたしか『メリーに首ったけ』だったので彼がイケメン俳優扱いされていたのが「?」だったのが, 『ワイルドシングス』を観たらなんとなくわかったような, そうでもないような.

2018/04/17

2018年1~4月:鑑賞リスト

『わたしは、ダニエル・ブレイク』
2018年初めて観たのが、この作品。レンタルした。
言ってみればかなり地味な作風、だからこそ現実的で、
ショッキングな場面が多かった。最後まで。
きっとよりたくさんの人に観てほしいというのもあっての、パルムドール受賞なのだろうな、と感じ入りながらエンドクレジットをただ茫然と見つめていた。

『ヒトラーの忘れもの』
第二次世界大戦後のデンマークに、地雷を除去するために送り込まれたドイツの少年兵たちの話。
初っ端から恐ろしさに震え上がるような迫力の軍曹、
どう関わっていくのかと思いきや、その少年兵たちが地雷を取り除くのを指揮するのだ。
「これは作りもの...映画...!」
と言い聞かせなければ本当にやっていられないシーンが続出し、
観たあとは疲労でいっぱいに。
それでもデンマークの自然の美しさや音楽にどうにか癒される。
そんな作品だった。
やっぱりアカデミー賞外国語映画賞、のノミネート作品や出品作品は見逃せない、と思う。

『ぼくとアールと彼女のさよなら』
どんな話なのか、病気の女の子が出てくるのか、そうか、と思って
とりあえず録画はしたものの長らく放置していたのが
一度再生ボタンに手をのばしたら見事に最後まで引きこまれた。
『ラブリー・ボーン』でも使われていたBrian Enoの曲と、ある場面でのコラボレーションが素晴らしいの一言。
音楽と映像と、それを目に焼きつける登場人物の表情だけであれほど感情をぐわんぐわん揺さぶられるとは思わず、気がついたら涙がこぼれていた。
でも悲しいからではなくて。圧倒されての、涙。

『シェイプ・オブ・ウォーター』
めずらしく友人と劇場で鑑賞。
人と観に行くと気まずい、というのをあとから知った、
まあそれが親じゃなくてよかった(笑)
好きか嫌いかと言われれば好きだし、観たあとはどっと疲れた(満足した)けれど、
正直なところ「1回でいいです」。

『メッセージ』
WOWOWにて。
サピア=ウォーフの仮説の勉強にはもってこい!これ観たら絶対忘れません!
言語学を専攻しているので、このいわゆる言語相対主義をつかって物語を作るとなるとこうなるのか、とそれだけで感無量だった。

『ライオット・クラブ』
私がイギリスでの留学をはじめた2014年秋ごろ、
町なかでポスターを見かけていた作品。
英国のイケメン若手俳優勢ぞろい、だけれど中身はとんでもない下衆。
実はオーストラリア出身のサム・リードの出演が嬉しかった。好きなので。
どうでもいいのですがposhのイギリス発音が好きです。

『レッド・スパロー』
気分転換と「スパイものが好き」という理由で劇場へ。
とんでもない豪華キャストだったので劇場の椅子のうえで驚いていた。
ジェニファー・ローレンスの七変化が楽しめるほか、
ロシアや東欧の怪しい雰囲気のなかでのスパイ活動、やはり映える。
ロシア人の設定なのにほぼ英語だったり、そもそもキャストにロシア人ほとんどいなかったり、そこがかなり引っかかって集中できなかった、のは最初だけ。
全体として楽しめた。
たしか前述の『シェイプ~』 の本編開始前にこの予告を見たのだが、
なんとなく、「お気楽な展開のハリウッド的スパイ映画?」と思いそれほど興味はなかった。もし同じ理由で鑑賞を見送ろうとしている人がいたら、おすすめしたいところだ。

2017/12/05

クリムゾン・ピーク


 Crimson Peak. 2015

20世紀初頭のアメリカ・バッファローで父親と暮らす女性イーディス. 彼女には幼い頃, 死んだはずの母親の幽霊に遭遇し, 「クリムゾン・ピークに気をつけろ」と警告されるという経験があった. ある日, 実業家である父親に投資を持ちかけるためイギリスからやってきたトーマス・シャープという男と惹かれあうようになったイーディスは, 父親の謎の死をきっかけに彼と結婚し, イギリスへ渡る. トーマスと彼の姉, ルシールと大きな屋敷で暮らし始めたイーディスだが, そこでさまざまな怪奇現象を経験することになる. 一方, イーディスの父親の死の原因について独自に調査をしていたイーディスの幼馴染である医師アランは, トーマスとルシール姉弟の素性を突き止め, イーディスを救うためイギリスへ渡るが...

監督は「パンズ・ラビリンス」「パシフィック・リム」などのギレルモ・デル・トロ. 彼の作品にはなんとなく苦手意識があったが,出演の顔ぶれに惹かれて鑑賞した. 特にミア・ワシコウスカとトム・ヒドルストンはともに大好きな俳優. 一方アラン役のチャーリー・ハナムが出演していることは, 彼の登場まで全く知らなかったので, 嬉しい驚きだった.

ホラー映画かと思いきや, ゴシック・ロマンという感じ?幽霊は, ビジュアルと効果音はたしかに怖かったが, じきに慣れてむしろジェシカ・チャスティン演じるルシールという人間の怖さが際立っていた.
あと注目すべきは3人が暮らす屋敷のディテール. たしかに素敵だけれども実際に住みたいとは思わない, 観賞用という感じ. 屋敷は実際にスタジオに作ったというのも驚き.

最後のイーディスとルシールの対決は少し滑稽だった. 一番強そうなアランが一番先に刺されてほぼ退場してしまっていたし(笑). 全体的に凝ったビジュアル, それにしては案外あっさりとした展開で, 物足りなさも感じたが, 久しぶりに映画を一本満足に観られたのでよかった.

2017/12/04

婚約者の友人

Frantz. 2016

1919年のドイツ. フランスとの戦いで婚約者フランツを亡くし悲しみに暮れるアンナはある日, 彼の墓の前で涙を流して立っている男性を見かける. ほどなくしてアンナとフランツの両親が暮らす家に訪ねてきた男性はアドリアンと名乗り, 戦前にパリでフランツと知り合い親しくしていたという. アドリアンが敵国フランスの出身ということで最初は彼を拒んでいたフランツの父, ハンスも, やがて彼の語るフランツとの思い出話に心を開くようになる. アンナ自身も, いつしかアドリアンに惹かれていくのだった. ところがアドリアンにはずっと隠していたことがあり.....

※ネタバレ少しあります.

モノクロ映画かと思いきや, 時々カラーになる凝った演出に, まず驚かされる.

アドリアンを演じるピエール・ニネの出演作は初めて. 彼のこの世のものとは思えない美しさにくぎづけになった. 迷い苦しみ, けれどもそれも自分のエゴのため. そんな青年を丁寧に演じており, そしてたまらなくお似合いだ. 手を触れた途端に崩れてしまいそうな儚さもある.

それに比べ, パウラ・ベーア演じるアンナは, ぴんと伸びた背筋にきりっとした顔立ち. 芯の強さが感じられる. 冒頭から, ドイツの街の石畳を踏みつつ堂々と歩いていく彼女の姿が印象的だった. そんな彼女が, 物語の終盤でピアノの演奏をやめて「もう, 無理」とその場を立ち去る場面には, 思わず体が重くなった.

そんなアンナが最後に選んだのは, 結局のところ「嘘」をつき続けること. すべてを明らかにしたアドリアン. それに対しアンナは, アドリアンすら思いもしないところで嘘をつき続けることとなる. 最後の絵の前の場面, あれは一つの嘘だったのではないかと感じた. 本当のことを言葉にしたところで, 喜ぶ者はいない. アンナにとっても, 彼を思い続けてもしかたがないのである.  絵を見ると, また切ない思いに苦しむことがあるかもしれない. しかし, これからもすべてを抱えて生きていくしかない. だから, 嘘ですべてを包みこむことを選んだのだ. 最後のその瞬間, モノクロだった画面は一気にぱあっとカラーになる. 安堵に似た感覚をおぼえた.

オゾン監督作品はこれまで「エンジェル」「ムースの隠遁」「彼は秘密の女ともだち」 の三作しか観ていない. 「スイミング・プール」はどことなく嵌れず, だったが,「危険なプロット」はぜひ観ておきたいところだ. あとはパウラ・ベーアのほかの出演作も観ておきたいと思う. もちろんピエール・ニネの「イヴ・サンローラン」も.

2017/09/17

最近観た映画まとめ

最近, というか, この空白期間に劇場で観た映画の備忘録, というか...

そのつど心動かされたはずなのに観たことすら瞬時に思い出せなくなっており, やはり少しでもいいから記録に残す大切さを痛感.

ということで一言ふたこと感想を加えつつ.


『こころに剣士を』
エストニアの映画, ということでもの珍しさもあり鑑賞.
フェンシングに打ちこむ子供たちと, 彼らにフェンシングを教える, 実は人に言えない過去をもった男性のお話. 実話である.
男性の後姿をこれでもかとなめるように映すカメラワークが印象的だった.
ラストはもちろん泣きました.

『スウィート17モンスター』
もう学園青春映画なんて観ないぞ!と思っていたはずが観てしまった.
自分もフローズンヨーグルトが食べたくなったし, 新しい自転車に乗ってどこかへ出かけたくなった.
主人公を見守る男性陣がみな素敵(いけ好かなかったはずの兄も含めて)

『シング・ストリート 未来へのうた』
行ったことのあるダブリンの街並みが最高でした.
もちろんサントラも!

『美女と野獣』
これ全然観るつもりなかったのだけれど, 友人に誘われて.
ダン・スティーヴンスの歌声が素晴らしすぎてずるい...素晴らしい...ずるい...
いまさら彼のファンになりかけたけれどもいまさらダウントン・アビー追えないな...と渋ってるうちに熱は冷めましたが.

『T2 トレインスポッティング』
興奮しないわけにはいかない一作.

『パッセンジャーズ』
学生最後の日に観たけれどほとんど印象に残っていない.
エンディングが大好きなImagine Dragonsだったことくらいしか覚えていない.


2016/10/12

世界一キライなあなたに

劇場に足を運んで観た映画を久しぶりに記録に残したくなったので。





(Me Before You; UK/US 2016)

原題のMe Before Youの意味が鑑賞後にじわりとわかる、その余韻がいつまでも残る。

基本的に映画の邦題にはあまり文句は言いたくない(いろいろ事情あるのだろうし)けれど、
この邦題はチケット買うときにちょっと恥ずかしかった(笑)

そもそも劇場には邦題もろくに覚えずに行き、さあチケットを買うぞというときに「あれ?邦題なんだっけ?」となってぎこちなく「えっと、世界で...世界一???」と言ってしまって、恥ずかしかった(笑)


環境が変わっても自分らしさを変えることのない人物の出る映画が好きだ。
今作では、そのラブストーリーに、というよりも、ルイーザというひとりの女性に、個人的には大きく共感した。

主人公のルイーザは英国の田舎の決して裕福ではない家庭出身。
家計を助けるために働いてきたカフェをやめさせられ、飛びついたのは事故が原因で車椅子での生活を送る大富豪、ウィルの世話係。
まったくあか抜けない田舎娘のルイーザは大富豪の家で働くことになっても変わることなく、奇抜なファッションで駆け回る。その姿、まぶしい笑顔に魅了された。

ハンサムな大富豪であるウィルと距離が縮まるのは当然のお約束、なのだけれど、その展開も速すぎず、遅すぎず、程よい。

天真爛漫なルイーザを見るために、もちろん同時に、ルイーザを丁寧に素敵に演じきったアメリア・クラークを見るために、再び劇場に足を運びたいと思う。

サントラも個人的にはかなりよかった。ウェールズで撮影された城も迫力があり美しい。