(The Grand Budapest Hotel. 2014. ドイツ・イギリス)
【あらすじ】
殺人容疑をかけられてあたふた
※ネタバレちょっとありです。
【感想】
観る前からわくわくしてたのが最後まで続きました。
途中、「ちょっとやりすぎなんじゃない...?」とあくまでシュールを貫き通す描写に圧倒されつつも、きっと監督は楽しんで撮っているんだな~と視点をちょっと変えてみたら何とも言えない幸せな気持ちになりました(何様
私はウェス監督の作品では「天才マックスの世界」がダントツに好きでなんとなく元気のないときに観るといいということを最近発見してまた近頃集中的に観ているわけなんですが、結論から言うと個人的にこの「グランド・ブダペスト・ホテル」は、「天才マックスの世界」のように何度も観たい作品ではなかったかも。
でも「監督の最高傑作」という点では異論はありません。本当に手が込んでいるし作品のあらゆる部分を切り取って額縁に収めて眺めたいし、なにより本作の語りの構造が好き。まあ、単純に言うと最高傑作が必ずしもマイベストにはならないということでしょう。ちなみに「天才マックスの世界」好きとしてはマックスを演じた彼の登場は嬉しい驚きでした(もちろん知ってはいましたが)。
【個人的注目ポイント】
1. シアーシャちゃん.......!!!
どうせまた豪華キャストなんでしょ、と最初に漫然とキャスト一覧を眺めていたときに目に飛びこんできて驚かされたのがシアーシャ・ローナン。「ビザンチウム」を観た直後だったからか、彼女にウェス・アンダーソンの世界は合うのか?なんて余計な心配を一瞬しちゃった。
シアーシャちゃんの、少し気が強そうで凛とした感じがこの作品のややゆるい雰囲気と妙に合っていて面白かったです。主人公のゼロがあまりに思わせぶりな言い方をするので、(シアーシャちゃん演じる)アガサはもしかして殺されちゃうの!?という心配を観客に植えつけた上での演出には、やられたな~と思いました。
2. ホテルの内装が
観ているときは思わなかったけれど振り返るとどことなく「アイズ・ワイド・シャット」みたいでした。ロビーが、背の高い男性が集まってちょっと薄暗くなっているところとか思いがけず素敵だったな。
あと、本作には3つの時代が登場するのですが、それによって画面のサイズが変わるという工夫がありました。観ているときはそんなサイズの変化にちょっとだけ気づいていたような気もしますが、あとから調べてびっくり。本作のそういった細部にこだわる世界観を堪能するためにも、もう一度観るのも悪くないかな。