2014/06/24

シャドー・ダンサー

(Shadow Dancer. 2012. イギリス)

【あらすじ】
IRAの戦士なのに英国のMI5のスパイになっちゃうシングルマザー

※内容や結末に関するネタバレあり

【感想】
暗い...とにかく暗い...!!

冒頭からいきなり引きこまれました。いきなり弟が死んじゃうんですもの。

IRAの活動のことはあまりよく知らなかったんですが、これが90年代の話とは...。90年代生まれなのでなんとなく震えながら、緊張しながら見入りました。

印象的だったのは、街並みとコレットの家族のシーン。

あんなに危険と隣り合わせのようでいて、でも街を出れば道路では子供たちが無邪気に遊び回っていて。不思議で信じがたいような光景でした。

(マックによれば)行きずりにコレットが寝た男との間にできた息子に、活動家の兄や弟も含め家族が惜しみなく愛情を注ぐ場面はまぶしかったです。むしろそういう複雑な事情で生まれた男の子の存在あってこそ、家族愛がうまく描かれていたのではないかな。家族愛、そして兄弟愛、大きなテーマですね。

この映画の好き嫌いが分かれるだろうと思われるのはあの衝撃のラスト。
「矛先が違わないか?」「マックは助けてくれたのになんてことを!」という意見がtwitterやブログで見たところ多かったような気もしますが、私はむしろ、「こういう終わり方もあるんだな~」と感心に似た思いで胸がいっぱいに。もちろん許されないことですけど。

まあ、血の繋がりをナメちゃいけないんだよな、と。

そもそも、マックがコレットに頼んだことは、コレットにとっては実の兄弟への裏切りでしたからね。家族が一緒にいるシーンが何度も映し出されて印象的だった分、私には(もちろん許せない行為ではあるけれど)納得できるような気がしました。母親の、電話を受けたあとの死を覚悟するシーンもよかったです。観ながら、思わずため息が。

原作があるみたいなので、機会があったら読んでみようかな。と思うくらいにははまりました。

キャストについては、マック演じるクライブ・オーウェンがとてもよく合っていました。渋くて強そうでいて、MI5の同僚たちが戸惑いを覚えるほどにコレットにのめりこんでいくどうしようもない男。ジャンルは全く違うけれど「クローサー」での彼を思い出しました。

アンドレア・ライズボロー、この人の作品はもっと観ていきたいです。彼女が本作でよく身につけていた真っ赤なコート、絶対目立ちすぎでしょ(笑)と思いながらもそのビジュアルにはうっとりしてしまいました。

【個人的注目ポイント】
1. アイルランドの鬱蒼とした風景
こういう景色がたまらなく好きなので。

2. コレットのお兄さん
一度見たときはあまり何も思わなかったし、第一印象も、コレットが冒頭で捕まったことに対し、しれっと「バカだな」みたいなことを言うのでそんなに良くなかった。けれども見ているうちに、「こんなお兄ちゃん欲しいかも」と思ったり(なんか違う


アイルランドの風景や街並みの寒そうで寂しげな雰囲気に加え、家族愛を描く映画がたまらなく好きなので、一度観ただけで気に入りました。

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