2018/07/23

おやすみなさいを言いたくて


(A Thousand Times Good Night / ノルウェー・アイルランド・スウェーデン/ 2013)

レンタル店へふらっと行き、おもしろそうと思った映画を持ち帰る、
という以前のような生活が戻ってきて、なんだかうれしい。

報道写真家のレベッカ(ジュリエット・ビノシュ)は、戦争の真実を伝えるために世界各地の紛争地域に果敢に飛びこむ、多忙な毎日を送っていた。アイルランドでは愛する夫マーカス(ニコライ・コスター=ワルドー)や二人の娘たちが待っている。ところがある日、取材中に爆発に巻きこまれ、危うく命を落としかける。そんなレベッカに、もう二度と紛争地域へは行かないでほしいと言う家族たち。レベッカはそれまで自分がどれほど家族に心配をかけ、彼らに支えられてきたのかを実感、仕事から身を引くことを考えるが...

使命感に燃えるレベッカと、彼女を心配し、彼女のそのような使命感に反感すら覚えはじめる家族、どちらの気持ちも静かに、細やかに描かれていた。どちらも最後までは譲れず、譲れるはずもなく、という展開が、言ってみればわざとらしくなくて良い。

死が身近な紛争地域と、家族の住むアイルランドの平穏な田舎町のコントラストも、見事。出てきた空港は、ダブリンの空港だろうか。何度か使ったことのある空港なので、どこか懐かしい思い。
 
最後は、どこか唐突に幕を閉じたような気がしたが、冒頭の彼女の行動との対比が生かされている。爆弾を抱えて出発するのが、自分の娘くらいの年頃の子供だと知ったとき、レベッカはもはや写真家ではなく、ひとりの母親となる。果敢にシャッターを切っていた彼女は、そこにはいない。 思わず膝を折り、その場に崩れる彼女の姿が、いつまでも印象に残る。

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