(Byzantium. 2012. イギリス・アイルランド)
あらすじ:ヴァンパイア姉妹(表向きは)の逃避行
以下、完全ネタバレです。
話の展開のしかたには思わず引きこまれました。冒頭から、クララ(ジェマ・アータートン)が売春宿で客ともみ合いになったと思ったら怪しげな男との追跡劇スタート。息つく間もなく、クララは彼を非常にショッキングな方法で殺します(苦手な人はここでもうダメかもしれません
そのクララには、エレノア(シアーシャ・ローナン)という妹がいます。2人の正体がしだいに明らかとなり、更に彼女たちが辿ってきた歴史をたびたび振り返りながら物語は進んでちきます。
撮影について詳しいことはわかりませんが、景色はただもう暗くて美しい。昼間の場面さえどこか暗い。薄青い。「ビザンチウム」とはクララが経営することになる売春宿の名前です。夜になるとそのネオンがきらめいて…更にアイルランドのひんやりと冷たげな夜の風景とあいまって、どこにでもある街の一角のはずなのにとても幻想的な雰囲気が作り出されていました。
もう個人的には自分の好きな要素がこれでもかというほど詰めこまれた最高の映画だ!とも思っていたのですが、、
最後のダーヴェルの行動にはちょっと疑問が。エレノアやクララのようなヴァンパイアとして生きたい、というのが彼がもとからもっていた願いで、それによって彼は2人を助けるのですが、少し唐突すぎたような印象を受けました。話の流れとしては嫌いじゃないのですが、それならもうすこしダーヴェルの心の葛藤のようなものを描いてほしかったなと。最初のクララとの浜辺での出会いの時点からダーヴェルの誠実さは垣間見えていたからその必要はなかったのかな。まあ正直に言えば、クララが辿ってきた歴史をもっと深く詳しく(私が)見たかった!というだけなのですが笑
そういうわけで、本作はクララとダーヴェルのロマンスに限りなく近い話として観てもおもしろいかもしれません。2人は結局共に生きていくようだし。母と娘は別れてしまったけれど、それぞれにまた違う相手を見つけて歩んでゆくのだなと思わせるラストはもうハッピーエンドなのでしょうね。
最後に、キャストについて。肝っ玉母ちゃんとして迫力満点だったジェマ・アータートンはやっぱり非ハリウッド女優らしい?たくましさと大胆な演技。シアーシャ・ローナンの美しさは際立っていました。何度も彼女のアップを見せつけられた気もします嬉しかったからいいけれど!影のある美少女です。またケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、「アンチヴァイラル」を少しだけ観たままでそのイメージがあったものの、本作では危ういようでいて少年らしさももった、(ヴァンパイアなどに比べれば!)普通の男の子を演じていました。抑えた演技やしかめっ面が素敵だったサム・ライリーの出演作も、どんどんチェックしていきたいですね。ジョニー・リー・ミラーは嫌な男を演じさせたら踏みつけたいほど憎たらしい男になってそれがすごいと思いました。
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