2014/07/03

美しい絵の崩壊

(Adore. 2013. オーストラリア・フランス)

【あらすじ】
親友の息子に愛されて、
と思いきや息子も親友を愛しちゃって...

※結末に関するネタバレはありません。

【感想】
そもそもなぜ観たのかというと、ベン・メンデルソーンとジェームズ・フレッシュヴィルがキャスティングされていたからでした。そうじゃなきゃ劇場までわざわざ観に行かなかっただろうと思います。

この2人は「アニマル・キングダム」で共演済み。この「アニマル・キングダム」に思いのほか夢中になってしまって。WOWOWさんのW座からの招待状は本当にいい作品ばかりで嬉しい。この作品がきっかけでいろいろ調べているうちに本作を知りました。まさか今頃公開されていたとは。ポスターがなかなかきれいで気になっていました。

初っ端から2人が親子役で出ていることを知り吹き出しそうに。「アニマル~」では全く違う役どころだったのに。更にジェームズ・フレッシュヴィルがなかなか気持ち悪く(大変失礼)成長していてちょっと残念でした。観ているうちに慣れたけれど。

内容に関しては、登場人物に全くついていけないながらもそこそこ楽しめました。たまには頭を空っぽにしてひたすら圧倒される映画を観るのも悪くないかなと思ったり。疲れてるせいなのか何なのか。もう一度通して観ようとは思いませんが。

ラストのどんでん返し?は意外と普通だったかな。私は観ながら事実確認がけっこうあやふやだったので、ちゃんと観て理解していれば「え!」と思ったのかもしれないけれど。

【個人的注目ポイント】
もうベン・メンデルソーンのことは上で語りましたが、

1. オーストラリア!!!
不覚にもオーストラリアに行ってみたいと思ってしまった...。暑いの苦手で海水浴なんて幼い頃に行ったきりの私にそう思わせるんだからすごいです(何様

2. ゼイヴィア・サミュエル
ナオミ・ワッツの息子でロビン・ライトを愛しちゃう役どころ。個人的には翳のある人の方が好きだけれどイケメンすぎて輝いてました。まぶしいイケメンは久しぶり。そしてナオミ・ワッツがお母さんとか、絶対ありえないだろうと思ってしまいました。もう一方のロビン・ライト×ジェームズ・フレッシュヴィル親子の方が現実にいそうでした(冷静な観察

調べたらいつのまにかエミリー・ブラウニングと交際してるみたいで。


結論:オーストラリアに行きたくなる映画だった

2014/06/28

グランド・ブダペスト・ホテル

(The Grand Budapest Hotel. 2014. ドイツ・イギリス)

【あらすじ】
殺人容疑をかけられてあたふた


※ネタバレちょっとありです。


【感想】
観る前からわくわくしてたのが最後まで続きました。

途中、「ちょっとやりすぎなんじゃない...?」とあくまでシュールを貫き通す描写に圧倒されつつも、きっと監督は楽しんで撮っているんだな~と視点をちょっと変えてみたら何とも言えない幸せな気持ちになりました(何様

私はウェス監督の作品では「天才マックスの世界」がダントツに好きでなんとなく元気のないときに観るといいということを最近発見してまた近頃集中的に観ているわけなんですが、結論から言うと個人的にこの「グランド・ブダペスト・ホテル」は、「天才マックスの世界」のように何度も観たい作品ではなかったかも。

でも「監督の最高傑作」という点では異論はありません。本当に手が込んでいるし作品のあらゆる部分を切り取って額縁に収めて眺めたいし、なにより本作の語りの構造が好き。まあ、単純に言うと最高傑作が必ずしもマイベストにはならないということでしょう。ちなみに「天才マックスの世界」好きとしてはマックスを演じた彼の登場は嬉しい驚きでした(もちろん知ってはいましたが)。

【個人的注目ポイント】
1. シアーシャちゃん.......!!!
どうせまた豪華キャストなんでしょ、と最初に漫然とキャスト一覧を眺めていたときに目に飛びこんできて驚かされたのがシアーシャ・ローナン。「ビザンチウム」を観た直後だったからか、彼女にウェス・アンダーソンの世界は合うのか?なんて余計な心配を一瞬しちゃった。

シアーシャちゃんの、少し気が強そうで凛とした感じがこの作品のややゆるい雰囲気と妙に合っていて面白かったです。主人公のゼロがあまりに思わせぶりな言い方をするので、(シアーシャちゃん演じる)アガサはもしかして殺されちゃうの!?という心配を観客に植えつけた上での演出には、やられたな~と思いました。

2. ホテルの内装が
観ているときは思わなかったけれど振り返るとどことなく「アイズ・ワイド・シャット」みたいでした。ロビーが、背の高い男性が集まってちょっと薄暗くなっているところとか思いがけず素敵だったな。


あと、本作には3つの時代が登場するのですが、それによって画面のサイズが変わるという工夫がありました。観ているときはそんなサイズの変化にちょっとだけ気づいていたような気もしますが、あとから調べてびっくり。本作のそういった細部にこだわる世界観を堪能するためにも、もう一度観るのも悪くないかな。

2014/06/24

シャドー・ダンサー

(Shadow Dancer. 2012. イギリス)

【あらすじ】
IRAの戦士なのに英国のMI5のスパイになっちゃうシングルマザー

※内容や結末に関するネタバレあり

【感想】
暗い...とにかく暗い...!!

冒頭からいきなり引きこまれました。いきなり弟が死んじゃうんですもの。

IRAの活動のことはあまりよく知らなかったんですが、これが90年代の話とは...。90年代生まれなのでなんとなく震えながら、緊張しながら見入りました。

印象的だったのは、街並みとコレットの家族のシーン。

あんなに危険と隣り合わせのようでいて、でも街を出れば道路では子供たちが無邪気に遊び回っていて。不思議で信じがたいような光景でした。

(マックによれば)行きずりにコレットが寝た男との間にできた息子に、活動家の兄や弟も含め家族が惜しみなく愛情を注ぐ場面はまぶしかったです。むしろそういう複雑な事情で生まれた男の子の存在あってこそ、家族愛がうまく描かれていたのではないかな。家族愛、そして兄弟愛、大きなテーマですね。

この映画の好き嫌いが分かれるだろうと思われるのはあの衝撃のラスト。
「矛先が違わないか?」「マックは助けてくれたのになんてことを!」という意見がtwitterやブログで見たところ多かったような気もしますが、私はむしろ、「こういう終わり方もあるんだな~」と感心に似た思いで胸がいっぱいに。もちろん許されないことですけど。

まあ、血の繋がりをナメちゃいけないんだよな、と。

そもそも、マックがコレットに頼んだことは、コレットにとっては実の兄弟への裏切りでしたからね。家族が一緒にいるシーンが何度も映し出されて印象的だった分、私には(もちろん許せない行為ではあるけれど)納得できるような気がしました。母親の、電話を受けたあとの死を覚悟するシーンもよかったです。観ながら、思わずため息が。

原作があるみたいなので、機会があったら読んでみようかな。と思うくらいにははまりました。

キャストについては、マック演じるクライブ・オーウェンがとてもよく合っていました。渋くて強そうでいて、MI5の同僚たちが戸惑いを覚えるほどにコレットにのめりこんでいくどうしようもない男。ジャンルは全く違うけれど「クローサー」での彼を思い出しました。

アンドレア・ライズボロー、この人の作品はもっと観ていきたいです。彼女が本作でよく身につけていた真っ赤なコート、絶対目立ちすぎでしょ(笑)と思いながらもそのビジュアルにはうっとりしてしまいました。

【個人的注目ポイント】
1. アイルランドの鬱蒼とした風景
こういう景色がたまらなく好きなので。

2. コレットのお兄さん
一度見たときはあまり何も思わなかったし、第一印象も、コレットが冒頭で捕まったことに対し、しれっと「バカだな」みたいなことを言うのでそんなに良くなかった。けれども見ているうちに、「こんなお兄ちゃん欲しいかも」と思ったり(なんか違う


アイルランドの風景や街並みの寒そうで寂しげな雰囲気に加え、家族愛を描く映画がたまらなく好きなので、一度観ただけで気に入りました。

2014/06/06

エヴァの告白


(The Immigrant. 2013. アメリカ)

【あらすじ】
ポーランド→アメリカ
妹とは引き離され、
頼りにしていた叔母夫婦には見捨てられ、
怪しい男に助けられ娼婦になってしまったけれど、
希望は捨てない

※結末や内容に関するネタバレあり


【感想】
マリオン・コティヤール目当てに観に行ってしまいました。ホアキン・フェニックスは苦手だしジェレミー・レナーもそんなに好きなわけじゃないのに。

...と思っていたら、鑑賞後にはジェレミー・レナーに魅了されてました。相変わらずホアキン・フェニックスは苦手だけど←

ブルーノ(ホアキン)にベタ惚れされてること知ってて放置してたり、オーランド(ジェレミー)に「一緒に西部へ行こう」と言われてもあっさり「妹のそばにいたいから」と断ったり、姉妹愛もひとつの大きなテーマなのだなと感じました。そして男2人の心を奪った上で破滅させておきながら、自分は最後には妹と再会し再出発。潔い。でも嫌いじゃないです。男性から見ると複雑かもね。

ラストが印象的でした。
鏡に映る、すべてを失ったブルーノの背中/窓から見える、妹と島を出るエヴァ

【個人的注目ポイント】
本作はメインのこの3人が光りすぎててまわりの世界が本当に見えなかった。キャスティングの面でもまさかこんなメンツが揃うとは。初めて知ったときはなぜだか違和感あったけれども、素晴らしかったです。

1. ジェレミー・レナー
私これまで彼をこんなに素敵だと思ったことないです(アッサリ

それでいて、「この人本当に信用していいの?」と観客にも、そしておそらくエヴァ自身にも思わせるような、どことなく信用の置けない怪しい感じが存分に出ていて上手いなあ...と思わされました。

2. ホアキン・フェニックス
「穏やか、それでいて実はキレやすい男」がなんて似合うんだ!
声までネチネチしてました笑

3. マリオン・コティヤール、というかエヴァ
美しすぎますよ...けれどもオーランドの絵に描いたような一目惚れには思わず「こんなことあるの??」とまばたきしちゃいました。

男2人に思われても、ひたむきに妹を思うのは近頃映画でも流行りの同性愛、に似た姉妹愛でしょうか。

2014/04/17

さよなら、アドルフ

雑誌で見かけてからずーっと気になっていた作品。ちょっと金欠なのでさんざん迷ったけれど、今のところDVDリリースの情報はまだないし、9月から日本を離れることもあって、それならいつ観られるかわかったものじゃない...!ということでほぼ勢いで観に行ったのですが...行ってよかったです。以下、思い入れが強すぎて前代未聞の長さになってしまった記事です笑


(Lore. 2012. オーストラリア・ドイツ)

【あらすじ】
お父さんはとんでもない悪党でした。

※結末に関するネタバレあります。

【感想】
一筋縄ではいかない映画でした。あらゆる意味で。

ホロコーストを扱った映画は数あれど、ヒトラーの子供たち、つまりはナチス側だった人間を中心としたものって今まで観たことなかったような。なにしろ知識があまりにもなさすぎるのが恥ずかしいところですが、とにかく、ナチスは「悪」なのだ、ということは日本人の私でも、別に特別に刷りこまれているわけでもなく認識としてありました。

そのような自分でも意識していないような思いで、私は最初あたりはこの映画を観ていたような気がします。私はかなり涙もろくて朝の15分間のドラマを観ても一瞬で泣いちゃうくらいなんですが、本作で主人公の14歳の少女ローレが父親と別れ、母親とも別れてしまう場面を目にしても泣けませんでした。いや、泣けませんでした、と言ってしまうのは薄っぺらいとは思うものの、一方で「そんなの当たり前じゃないか」とどこかで感じていたような気がするのが今振り返ると怖い。

でも本作自体、ローレに無駄な感情移入を促すような要素がそもそもないのです。話は一定のリアルさを保ちながらも淡々と進んでいきます。今触れた感情移入どころか、無駄なものは一切ありません。BGMもほとんど覚えていないくらい流れなかったような気がするし、説明的な台詞も、何もかも。何かを暗示させるような物事を無言で、ただ美しく、ときに不気味で残酷な映像で提示されていく2時間でした。いや、ほとんど美しかったです。

印象的だったのは、人物に物理的距離を迫るようなカメラワーク。ローレの気品漂うきれいな顔立ちがまぶしいと何度も思いました。彼女の肌のきめ細かな部分まで目に入るようで、長い旅路の中でついた顔の傷もリアルでただただ痛々しかった。

そんなローレとその妹や弟たちが旅の途中で出会う青年トーマス。は、実はユダヤ人。ローレは彼をユダヤ人として毛嫌いする一方、抑えきれない思いを大きくしていきます。この2人が視線を合わせる場面が何度かあるのですが、どれも切り取って繰り返し眺めたくなるほどきれいだった!

ところがこのトーマス、実はユダヤ人ではなかった???ということが終盤になって、彼がローレたちのもとを去ってからわかるんですね...これが憎いというか何と言うか。「アメリカ人はユダヤ人が好きだから」という理由で、ユダヤ人だった他人になりすましていただけなのでした。ナチスの娘がユダヤ人の青年と出会って恋に落ちて...という、まあ実際にあったかもしれないということは別にしてある種のファンタジーのような、そういうものを作る気はさらさらないのです。

かわりにローレにつきつけられた真実は、これはあくまで私の見解ですが、単純に言えば人間はみんな一緒、という普遍的なものだったのでは。ユダヤ人(だと思っていた)青年トーマスにどうしようもなく惹かれながらも、彼がユダヤ人(だと思っていた)ということで最終的には心を許せなかった。でも実際はその彼もユダヤ人ではなかったかもしれなくて。トーマスへの嫌悪感も、彼が犯した殺人も、すべては彼が「ユダヤ人だから」ということでなんとなく納得してところがあったのでは、とローレに対して思います。

最後に、ローレがトーマスがもっていた(本物の)トーマスの身分証明書の中を開き、(本物の)トーマスが幸せそうにほほ笑む写真を取りだして見ていたのが印象的。以前の自分と何ら変わりない、幸せそうな光景。自分の父親が、大好きだった父親が、彼の幸せを奪ってしまったのだ。この事実に押しつぶされそうになる。

こうして、ローレの世界は900キロに及ぶ旅を経て崩壊し、そして再生します。


【個人的注目ポイント】
というか、何と言うか...トーマスはなぜ去ってしまったのでしょう。

ファンタジーを否定しておいてなんですが、トーマスも嘘をついているのが辛くなってしまったのではないかと。確かに赤ん坊と一緒にいれば得することは少なからずあるとは言え、ローレたちといるときのトーマスは確かに幸せそうに見えたのだけどなあ。そのあたりが曖昧というか、心をつかまれてしまったというか、すごく気になりました。ローレとトーマスが顔を合わせず寝そべりながら指を絡め合わせるシーン、その様子をローレの側から撮るカメラワークが素晴らしく美しかっただけに!

また、やっぱりトーマスはユダヤ人だったのではないかなあという思いも捨てきれず。腕に番号のようなものがありましたしね。彼なりに葛藤があったのかも。ローレがなかなか自分に心を開いてくれないのも、自分がユダヤ人だからということをトーマス自身わかっていたはずだし。そんなローレが誇りを捨てて最後には自分に縋ってきた...喜べばいいのか、何なのか。いいえ、トーマスも辛かったんでしょうね。ローレがそこまで誇りを犠牲にして思いをぶつけてきたのには。耐えきれなくなって、別人になりすましているのだという負い目もあって、八方塞がりになった。だからこそ彼は去ったのだ、とも解釈できるわけです。というか、考えれば考えるほどそんな気がしてきた...深すぎますよ、「さよなら、アドルフ」...

アカデミー賞の外国語映画賞では最終選考には残らなかったみたいですが、既に私のオールタイムベスト映画に入りそうです(わりとどうでもいいですか

2014/04/13

隠れハミッシュ特集「バトルシップ」「ザ・フューチャー」

1ヵ月ほど前からハミッシュ・リンクレイターが大変なマイブームなのですが...


個人的な魅力
気の抜けた、とも、ただキョドッているだけ、ともとれる独特の喋り方

まんまるな目(見つめられたい...

ものすごい草食系な雰囲気。科学者役とか意外とはまるんですね

それでいて身長はなんと190cm!

夢中になったきっかけ
「29歳からの恋とセックス」という映画。
「ロボコップ」で主演に抜擢されたジョエル・キナマンが出ているとかで最近レンタルショップの店頭で見受けられるようになったのですが、邦題やアメリカが大量生産してるありきたりなラブコメ!のイメージにだまされずにぜひ観ていただきたいオススメ映画です。好き嫌いはかなり分かれそうだけど

正直ジョエル・キナマンめあてに観たのに、そのジョエルの親友役を演じていたハミッシュにはまるという予想外な展開に。ほんとうに夢中になったきっかけは、彼がヒロインに向けたセリフでした

I cannot believe you!

この言い方、それを取り巻く状況(これはネタバレになるので伏せますが)、実際は修羅場なんですが本作におけるお気に入りシーンの1つに。このセリフを言ったときのハミッシュの表情、カメラワークが最高でした。

**

そういうわけで、ハミッシュ出演作を開拓しようとまず借りてきたのは「バトルシップ」。


日本から浅野忠信が出ていること、リアーナの出演、といった知識で鑑賞しました。ハミッシュは科学者役で、後半にかけてはけっこう出番ありです。

が、正直、前半だけ観ていてレンタルしたことを後悔しかけました...特に冒頭、チキンブリトーを取りに閉店後の店に侵入したテイラー・キッチュの情けない姿とともにピンクパンサーの曲が流れたときは、ほんとどうしようかと思いました(震)。あと、ヒロインもちょっと微妙だし(失礼)、大物リーアム・ニーソンもほとんど出番なしというかこの人何でこんなのに出たの?(もっと失礼)という感じだったし。

でも、結論というかこの作品でわかったことは、本編に入るまでが極端に長い映画は飽きられやすいのかもしれない、ということ。本気で投げ出したくなったけれど、つまりは我慢強く観ていたらわりとおもしろかったのでした。特に最後は爽快。宇宙人と海軍の戦いというプロットに現代においてここまで本気で取り組んだ作品はある意味新鮮でした(褒めてる?


ハミッシュの出演作で特に気になっていた「ザ・フューチャー」は、ちょうどよくWOWOWで放送。

※結末に関するネタバレあり



かなりシュールな映画でした。シュールな映画は大好きなんですが、この世界観はシュールすぎて個人的には入りにくかったような気がします。

特に、主演の2人が世話をすることになる、でも施設で引き取られることになるネコのパウパウが話をするシーンはちょっと不気味でさえありました。パウパウの運命は、「まあ、こうなるんだろうなあ...」と思っていたら本当にその通りに。作品全体にパウパウのそんな運命を連想させるようなある種の切なさが漂っていて、気分の良いときに観るものじゃないかも。

ここでのハミッシュは、彼がもともともつ文化系の雰囲気が作品にするりとマッチ。同じような年に製作された「24歳からの恋とセックス」での短髪とは打って変わってのアフロヘアが素敵。変わってゆく恋人への戸惑い、時間を止めたいと願い足掻く様子が痛いほど伝わってきました。



最後に、「29歳からの恋とセックス」のハミッシュとキャスト&監督

2014/04/03

それでも夜は明ける

大阪ステーションシティシネマで鑑賞。
大都会の映画館なんて初めてのことです。大都会じゃなくても、縁のない土地の映画館は。とてもきれいな映画館でした。観てからすぐに大阪駅から電車に乗って帰りました。


 
(12 Years a Slave. 2013. イギリス・アメリカ)


結末に関するネタバレはありません。


あらすじ
「自由黒人」だったのに奴隷になってしまった...


感想
とにかく緊張しっぱなしでした。スクリーンから熱気とも冷気ともいえない、でも圧倒的な空気が放出されていて、それに逆らうように必死に座席にしがみついて何とか座っていたような気さえします。

というか途中で「いつ終わるの?」とスクリーンの明かりを頼りに腕時計を見ましたもん....誤解のないように言っておきますが退屈だったとかそういうわけではなくして、
「この苦しみはいつ終わるの?」という思いだったのでした。

その点、映画館で観てよかったのかもしれません。どうしても退屈な映画なら時計を確認するまでもなく途中でやめてしまえるということは言うまでもなく、本作のように苦しくて観ていられない映画を家でこたつにでも入りながら観るようなときは一旦停止したりできるので。映画館では、何度も心の中で「このシーンはもういやだ....でも観なくちゃ!」と人知れず闘っていました。

鑑賞後、気になったのは2つ。

まず、差別って、奴隷って何だ?ということでした。

本作には、ソロモン(C. イジョフォー)のような「自由黒人」をはじめ、白人と結婚した「元奴隷」の黒人女性、母が黒人で父が白人という女の子、奴隷なのに主人から可愛がられる幼い女の子など、「差別の対象」であるはずなのに(奴隷になっていないという意味で)差別の対象にならないか、されても程度の軽い黒人が出てきます。彼らと、奴隷として働く黒人の間に一体どんな違いがあるんでしょう。ソロモンだって、証明書という紙切れがないというだけで奴隷と見なされてしまいます。

結局は、差別したいときはするし、しないときはしない、というたったそれだけなのかもしれません。そういう感情はほとんどすべて「白人」という一部の集団がもち、それによって左右される世の中だったんですね。そして今も。集団は違えど。あまり表に出てこないところで。

また、ソロモン自身の、奴隷になる前後の奴隷制度に対する考え方はどうだったのだろうかということ。

拉致される以前は、ソロモンは奴隷制度に対して特に意見は持っていないようで、ただ家族と平和に暮らすことのできる現在に満足しているだけでした。ソロモンが家族と共に出かけた店に、彼らにつられて奴隷黒人が入ってきます。彼はすぐに主人に呼び止められ連れていかれるのですが、そんな彼を見たソロモンが特に何らかの感情を抱いた様子はあまり見受けられません。奴隷というのは自分には程遠い存在であり、まさか自分が奴隷になるだろうということは夢にも思っていないのでした。

捕まったとき、「私は自由黒人だ!」と主張したり(当然の行動には違いない。けれど、現行の奴隷制度にしがみついているようでもある)、まだ日の浅い時期はただ感情をなくして賢く振る舞おうと考えています。同じ境遇にあり、子供と引き離され泣き暮らす黒人女性への決して温かくはない態度も印象的です。この闇はきっといつか終わる。その思いをずっと捨ててはいないのです。

C. イジョフォーの、「奴隷役にしては」(という言い方も語弊がありますが)少し上品すぎるともとれる演技は、ソロモンの自由黒人(しかもバイオリンという一芸に長けている)という本当の身分を反映しているだけにとどまらず、こういったソロモン自身の奴隷制度への見方を暗示しているのではないかと思いました。


個人的注目ポイント
1. マイケル・ファスベンダー
奴隷制度に対し疑問を抱くことのない、「残忍」なエップスを演じています。エップスに限ることなく、当時はこのような人間なんていくらでもいたはず。今だからこそ真っ向から否定し非難することができる

彼のファンとしては複雑というか、そもそも本作は彼のことがあって観るの結構躊躇してました。でも観たあとは、どうやって役作りしたんだろうとか演じる上でどんな心境だったのだろうとか、そういうことが頭をかけめぐりました。


2. ブラピはブラピだった
彼には独特のオーラがあることを差し引いても、本作のブラピはちょっと浮いてたよ...。というより、おいしいところを持っていきすぎだった。別にいいんですけどね。

持っている思想は今私たちが生きている世界(といってもいまだ限られた世界なのだろうけど)のそれと似通っていたからまあ安心して観られたけれども、当時としては早すぎるというか。エップスの心に全く響いておらず、むしろ彼からの嘲笑を買うところにブラピ演じるバスの当時の社会とのずれが反映されていたんでしょうね。

ところでファスベンダーとブラピは共演作がなかなか多いですよね。本作にも同じ画面におさまるシーンはありましたが、およそ15歳の年の差をまったく感じない...ファスベンダーが中3のときブラピは30歳のオトナだった、っていうことでしょ!?←日本的に言ってみた


3. 邦題...
この邦題は何かと問題ありな気もしますが、私は正直あまり気にならなかったというか。

少しシュールともとれ(日常的な生活の様子をバックにした長時間ぶら下げシーンとか)、無駄な説明を一切省きすべてを淡々と描くこの映画の克明な描写を反映したような邦題、だと思いました。どんなに苦しくて理不尽で残酷なことが起き、人が死に鞭で何度も打たれることがあっても、太陽は沈みまた昇る。当たり前だけれども時として不思議ではっとさせられるような現実ですよね。

まあ、そこまで考えて出された邦題なのかというとそれも疑問ですが。それに、やはり誤解を生みやすい邦題はちょっとな...と感じます。実際、文字通りではない意味で「夜」は明けてませんから。

2014/03/26

バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!


(Bacherolette. 2012. アメリカ)
 
あらすじ
結婚式前夜に花嫁のドレス破いちゃった

感想
評判がよろしくないので期待してなかったんですが、かなり楽しめました。まあ、下品でしたけど。

登場人物にはまったく感情移入できないのですが、非常識でぶっ飛んだ人たちは映画だと思うから見ていて楽しいのです。むしろこのような人たちは日常生活ではなかなかお目にかかれない。そう考えるとどこか貴重でした(褒めてる?
 
 
個人的注目ポイント
1. アダム・スコット
ブライズメイドの1人、ジェナの元カレを演じていたのがアダム・スコット。最近はドラマParks and Recreationで有名とのことですが。表情を変えずに話すこの人の演技が好きです。ラストのスピーチがすっごく下品なんですが最高でした。

2. 主題歌
I'm Gonna Be (500 miles)!
どこかで聞いたことあると思ったら、ジョニー・デップの「妹の恋人」でも使われていたんですね。名曲ですが、本作にはなかなか似合っていました。歌詞が素敵!


全体的に
キャストに好きな人がいるとかそうでないと多分観られない映画だろうな....。キルステンはなぜ出たのでしょうか。久しぶりに見る彼女のちょっとハジけた演技、どことなく「チアーズ!」を思い出させました。

あと、バチェロレッテなんですね...ずっとバチェロッテだと思ってましたw

2014/03/24

LOOPER/ルーパー

(Looper. 2012. アメリカ)

あらすじ
30年後の自分を殺さなきゃ!
 

感想
こういうタイムトラベルもの、仕組みについては私は考えるのさえあきらめてほぼ思考停止状態で観る派なんですが…

まさか登場人物の口から
「タイムトラベルなんて知るか」(by ブルース・ウィリス)
なんて言葉が飛び出すとは思いませんでしたよ。さすがに「ちょ、ちょっとぉ!」とツッコミを入れてしまいました。
確かにこの人が言うと謎の説得力が増すのですが、だからってそれで片付けてしまおうなんて…良い度胸です笑

未来から送られてくる、自分を含めた人間を殺すのがルーパー(処刑人)としての現在の自分の仕事。その設定だけでも頭で処理するのに時間がかかるのに、更に超能力をもった子供を出してくるとは、将来が楽しみであり不安でもある意欲作だと思いました。この超能力については最初に触れられたのがかなり冒頭の方だったので、途中に久しぶりに出てきたときは「こんなのあったっけ?」としばらく考えこんでしまいましたが。
 

個人的注目ポイント
1. ジョセフ・ゴードン・レヴィット→ブルース・ウィリス
個人的も何も、観た人みんなが注目しないわけにはいかない点ですよね。若いジョーと30年後のジョーを演じています。

中盤でいかにジョセフからブルースに成長したのかがわかる流れがあったのですが、正直一部あまり見たくない部分がありましたw

また、将来ブルース・ウィリスみたいになるんだなと説得力を得るために、ジョセフ・ゴードン・レヴィットはブルースに見た目も中身もなりきっています。仕草の似せ方はうまいの一言、顔もかなりいじっていました。鑑賞後はもとの彼の顔を忘れて思わずGoogleの画像検索をかけたくなったほどでした…

2. 子役がすごい
若いジョーが出会う親子。息子の方は将来かなりの大物になるという設定なのですが、演じた子役がすごかったです…良く言えば演技上手、悪く言えばただただ不気味でした。母親を演じたのはエミリー・ブラント。若いせいか何なのか、親子というより姉弟に見えました。この親子を救うためにジョーが最後にとった行動には背筋が震えました。

2014/03/23

プロヴァンスの贈りもの


(A Good Year. 2006. アメリカ)

あらすじ
死んだおじさんが遺したプロヴァンスの家とかブドウ畑とか、どうする!?
 

感想
なんとも穏やかな映画でした。マリオン・コティヤールの美しさに主人公でなくとも惚れ惚れ…。監督のリドリー・スコットが英国人であることを思い出させるような演出。

おじさんの遺産なんてそんなもん全部売却してロンドンに帰ってやるよ!と思っていたマックス(ラッセル・クロウ)。ところがフランスに着いて早々なぜか1週間の停職となり(笑)、幼い頃よく夏を過ごしたシャトーで過ごしているうちにいろいろな思い出が蘇ってきます。この回想シーンが、どうすれば大人になったらラッセル・クロウになるのかわからない少年時代を演じるフレディ・ハイモア君の可愛さ、アルバート・フィニーの微笑ましいおじいちゃん、じゃなくて、おじさんぶりとあいまって、素敵でした。

ラストでわかる、ファニーとは実は…という流れはかなり好きでした。使い古されたようなネタだけれど、いいんです!
 

個人的注目ポイント
1. 英国人ラッセル・クロウ
彼はニュージーランド出身なんですね。ニュージーランドの英語がどんなものなのかイギリス英語に近いのかどうかさえよくわかりませんが、英国人になりきるラッセル・クロウはなかなかよかったです。「一体どうしろっていうんだよ!」と慌てふためき、特にプールに落ちてしまったシーンでは他の作品では見られない彼の普通の男ぶりが楽しめます。わりと新鮮。リドリー・スコット監督、さすが彼の使い方をよくわかってますね。

2. マリオン・コティヤール
マックスがプロヴァンスの町で出会う
ファニーを演じています。本当に美しい。まぶしい。そして強い笑。フランスの女性ってみんなこんな感じなのかなあと思わされます。
マリオン・コティヤール、「TAXI」シリーズで出ていた頃からなんとなく注目してたんですが、まさかこんなに有名になるとは、と何度も思ってしまいます。本作はオスカーを獲る前ですが。ラッセル・クロウも「グラディエーター」で獲ったし、今思えばオスカーコンビのロマンスなんですね〜

3. 暗いロンドン、まぶしいプロヴァンス
プロヴァンスに辿り着いたマックスは頻繁にロンドンと連絡を取り合うのですが、そのときに出てくるロンドンはほぼすべてのシーンで雨が降っていたような…笑。いくらなんでも降らせすぎ!ロンドンだしとりあえず雨でも降らせとく?ということなのでしょうか。画面も薄暗くてなんか青かったです。
一方、プロヴァンスは常にまぶしいです。まぶしげに目を細める人物たちの顔が印象的。ぜひ行ってみたいものです。


(マニアックな)おまけ
本作には、まだあまりオーラのない頃の(失礼?)アビー・コーニッシュが出ています。登場シーンではマックスに7その歯並びは、アメリカ人だな?」なんて言われてますが。
そのアビーと数年後「ウォリスとエドワード」で夫婦役となり殴り合いのバトルをすることになるリチャード・コイルも、本作にマックスのライバル役で出演。直接の共演シーンはありません。リチャード・コイル、どちらもあまり日の当たらない役だったんですが最近ちょっと気になってます。一発屋に終わった?「プリンス・オブ・ペルシャ」にも出ていたらしいですが今となってはわからない…

2014/03/21

ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋


  (W.E. 2012. イギリス)

あらすじ
国王に愛された人妻、と彼女に思いをはせる現代ニューヨークの女性


感想
ちょっと文句をつけがたい意欲作です。内容はかなり凝っています。

「英国王のスピーチ」でちょっとだけ出てきた、現エリザベス女王の伯父にあたるエドワート8世と、アメリカ人女性ウォリス・シンプソンの許されない恋を描きます。だから「英国王のスピーチ」とセットで観るとおもしろいかもしれません。雰囲気はなぜだか全然違いますが。

...といいつつも、この邦題に惹かれて観るとちょっとびっくりするかも。なぜなら物語の中心は、アビー・コーニッシュ演じる1998年ニューヨークに住む元学芸員ウォリー・ウィンスロップだから。彼女は自分の名前がウォリスにちなんでいるということからも、個人的にウォリスに惹かれています。仲がうまくいっていない夫に黙ってオークションで彼女の遺品を高値で買い取ってしまうほどに。

内容については、冒頭からいきなりDV夫が出てきて怖かった...。DV夫は人は違いますが本作ではまた出てきます。DVだけが理由ではありませんが、男性に受けは悪いかもしれません。というか男性には理解しがたい部分もあるかも。

正直なところ、ウォリーを演じるアビー・コーニッシュが個人的に好きだったり話の流れやちょっとしたスリルがあったりして、現代編の方がおもしろかったです。というかウォリスの方が正直途中からまぶたが重くなっ.....ウォリスとウォリーのエピソードが、うまい具合に重なり合っていくさまは観ていて心地よかったけれども。


個人的注目ポイント
1. 話のテンポが良い!
監督はマドンナです。あのマドンナですよ....。見間違いかと二度見しちゃいましたよ。前にも監督作はあるみたいですが、正直あまり期待してませんでした。そういうわけなのでびっくりすると共に、これがマドンナらしさなのかもしれないなあと漠然と思わされました。

特に、非常に細かいんですが、ウォリー(アビー・コーニッシュ)が夫ウィリアム(リチャード・コイル)とやり合うシーン。激しい視線で向き合ったあとに一瞬だけ2人同時に相手から視線を逸らすところがあるんですが、ただただ「かっこいい...」と感じました(必死なシーンなのに、ノンキなものです)。

2. オスカー・アイザック
鑑賞の決め手は実は彼だったりします...
夫とうまくいかない女性が出会い恋に落ちる男性としてはおとぎ話にも程があるよ!と言いたくなるくらい素敵な男性を演じています。

3. アンドレア・ライズボロー
「オブリビオン」で観たのが初めてでした。国王に王冠を投げ出すほど愛される女性ウォリスを熱演してます。本当は英国人なのに、見事に奔放なアメリカ人女性になりきっていました。さすがRADA出身!

4. 主題歌
マドンナの歌うMasterpiece、GG賞を受賞しています。歌詞が映画の内容を示しているともとれます。


おまけ
エドワード8世の弟でエリザベス女王の父親にあたる、そして「英国王のスピーチ」ではコリン・ファースが演じていたジョージ5世を、本作ではジェームズ・フォックスが演じています。「穴」でキーラの彼氏を演じていたあの男ですw
また、現代のウォリーを演じていたリチャード・コイル、本作では本当にろくでもない男(動機は最後までよくわからなかったけれど)を演じていましたが、声がなかなか素敵な英国俳優でした。なんとなくマイケル・シーンに似ていなくもないのでした。

2014/03/20

好きな俳優(Actresses)

好きな女優も集めてみました。

ミア・ワシコウスカ
Mia Wasikowska
出会い:たぶん「ジェーン・エア」
オススメ:「ジェーン・エア」「イノセント・ガーデン」「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」
立ち位置:常に気になる大好きな女優。マルチでアートで私服も素敵。もはや本人になりたいと思わせる人。眉をひそめててくれないと逆に不安になる謎な人。監督作にも期待

クリスティーナ・リッチ
Christina Ricci
出会い:忘れた
オススメ:「スリーピー・ホロウ」「ギャザリング」「ニャンタッチャブル」
立ち位置:元マイベスト女優。どうして好きなのか理由もわからないほどはまって出演作はひと通り観た人

イモジェン・プーツ
Imogen Poots
出会い:「フライトナイト」
オススメ:「フライトナイト」「フィルス」「センチュリオン」
立ち位置:笑顔がとにかく好きな人。この人の話す英語が大好き

アビー・コーニッシュ
Abbie Cornish
出会い:不明
オススメ:「ウォリスとエドワード」
立ち位置:とにかくルックスに惹かれる人。特に横顔が素敵。視線の演技がうまいと思う人。最近のお気に入り

レア・セドゥ
Léa Seydoux
出会い:「イングロリアス・バスターズ」かM:i4
オススメ:「うつくしい人」「ミッドナイト・イン・パリ」
立ち位置:いろいろと油断できない人。幸せな役が「ミッドナイト〜」くらいしかないんじゃないかと心配になる人。フランスの恋愛映画を得意にならないとな...と思わせてくれる人

グレタ・ガーウィグ
Greta Gerwig
出会い:「29歳からの恋とセックス」
オススメ:開拓中。Frances Ha観たい!!
立ち位置:これから開拓していきたい才媛

エマ・ワトソン
Emma Watson 
出会い:ハリポタに違いない
オススメ:ハリポタくらいしかまともに観たことないので何とも言えないけれども未見の「ウォールフラワー」(暫定)
立ち位置:なんだかんだ言って好きな人。ファッションが気になる人。セレブマガジンとか見てるときに思わず姿を探しちゃう人(ここまで女優業関係なかったw

2014/03/19

ロボコップ


  (Robocop. 2014. アメリカ)

あらすじ
:瀕死状態からロボコップになったと思ったら改良を重ねられ最後には...


鑑賞の決め手
:アビー・コーニッシュ!!!彼女がマーフィーの妻役で出演すると知らなかったら観ていたかどうかちょっと怪しいです。いくらキナマン主演でも!
あとはもちろんゲイリー・オールドマン


感想
期待していたよりもおもしろかった。ラストになぜか泣いた。

ハリウッド映画にしてはそれらしくない、ちょっぴり地味でアイロニーのきいた映画だったと思います。そこがなんともいえず好きなんです。でもラストの切り方は微妙...だととられてもしかたないかも。

ただ逆に言えば、ロボコップ!ロボット!アクション!と期待していたらちょっとがっかりなのかなと。好みは完全に分かれるのではないでしょうか。アクション大作というものがそもそも苦手な私は、断然好きです。家族愛も、大好きです。


個人的注目ポイント
1. アビー・コーニッシュ
美しすぎました。彼女の横顔大好きなんです。彼女の鼻になりたい(謎)

と、容姿のことは置いておいて、本作ではかなり光っていたと思いますよ彼女。
ロボットにされてしまった夫を見つめるまなざしに何度も熱くなりました。いくら自分が同意したこととはいえ...と葛藤する妻の姿。特に、マーフィーが最終的には感情も失ったことがわかる、初めてのお披露目のシーンでは優しいまなざしから一瞬にして戸惑いをおぼえ始める表情の変化がよかったです。

2. ゲイリー・オールドマン
本作のMVPですよ、いろんな意味で。
マイケル・キートン演じるCEOからどんどん無理難題をつきつけられ、慌てふためきながらも乗り越えていくさまには哀愁さえ感じました。いや、冗談じゃなく。
彼が出ているだけで画面が締まるとともに、なぜか安心感も生まれますね。ひと昔前に悪役で出まくっていた頃からは想像もできなかったことでしょう。

3. ピーナツ???
観た人ならわかる、マーフィーの手術シーン。彼が「ピーナツの味がする」とか何とか言っていたのですが、ああいうエピソード他の映画にもなかったっけ?題材的には頭パックリシーンのあるハンニバルあたりが怪しいのではと目をつけているのですが、場面が場面なだけにあまり深入りしたくない疑問ではあります。

4. 音楽
実はスターチャンネルの粋な計らい(?)で今月はじめに放送された旧作ロボコップをやっと観たわけですが...その頃は特に気にもとめていなかったはずなのに、本作で流れていたあのテーマソングを聴いて「あ、あの曲!」と思い嬉しくなりました。何度聴いてもかっこいいです。

5. スーツの色
忘れちゃいけない、スーツの色。ラストで元に戻ったところに、なぜだかグッと来るものがありました。



機会があればぜひもう一度観に行きたいと考えています。あの心地よくさえ聞こえる発砲音を、もう一度劇場で。


おまけ
本作で主演のジョエル・キナマンが気になった方!
彼の貴重な(?)ラブコメ、 「29歳からの恋とセックス」 もぜひ!最近のわかりやすいラブコメに飽き飽きした人には特におすすめです。

2014/03/18

ビザンチウム

公開前から気になっていた作品。DVDが既にリリースされていることを知らずにレンタルショップへ行って、思わぬ収穫でした。

             

  (Byzantium. 2012. イギリス・アイルランド)

あらすじ:ヴァンパイア姉妹(表向きは)の逃避行



以下、完全ネタバレです。



話の展開のしかたには思わず引きこまれました。冒頭から、クララ(ジェマ・アータートン)が売春宿で客ともみ合いになったと思ったら怪しげな男との追跡劇スタート。息つく間もなく、クララは彼を非常にショッキングな方法で殺します(苦手な人はここでもうダメかもしれません

そのクララには、エレノア(シアーシャ・ローナン)という妹がいます。2人の正体がしだいに明らかとなり、更に彼女たちが辿ってきた歴史をたびたび振り返りながら物語は進んでちきます。

撮影について詳しいことはわかりませんが、景色はただもう暗くて美しい。昼間の場面さえどこか暗い。薄青い。「ビザンチウム」とはクララが経営することになる売春宿の名前です。夜になるとそのネオンがきらめいて…更にアイルランドのひんやりと冷たげな夜の風景とあいまって、どこにでもある街の一角のはずなのにとても幻想的な雰囲気が作り出されていました。

もう個人的には自分の好きな要素がこれでもかというほど詰めこまれた最高の映画だ!とも思っていたのですが、、

最後のダーヴェルの行動にはちょっと疑問が。エレノアやクララのようなヴァンパイアとして生きたい、というのが彼がもとからもっていた願いで、それによって彼は2人を助けるのですが、少し唐突すぎたような印象を受けました。話の流れとしては嫌いじゃないのですが、それならもうすこしダーヴェルの心の葛藤のようなものを描いてほしかったなと。最初のクララとの浜辺での出会いの時点からダーヴェルの誠実さは垣間見えていたからその必要はなかったのかな。まあ正直に言えば、クララが辿ってきた歴史をもっと深く詳しく(私が)見たかった!というだけなのですが笑

そういうわけで、本作はクララとダーヴェルのロマンスに限りなく近い話として観てもおもしろいかもしれません。2人は結局共に生きていくようだし。母と娘は別れてしまったけれど、それぞれにまた違う相手を見つけて歩んでゆくのだなと思わせるラストはもうハッピーエンドなのでしょうね。

最後に、キャストについて。肝っ玉母ちゃんとして迫力満点だったジェマ・アータートンはやっぱり非ハリウッド女優らしい?たくましさと大胆な演技。シアーシャ・ローナンの美しさは際立っていました。何度も彼女のアップを見せつけられた気もします嬉しかったからいいけれど!影のある美少女です。またケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、「アンチヴァイラル」を少しだけ観たままでそのイメージがあったものの、本作では危ういようでいて少年らしさももった、(ヴァンパイアなどに比べれば!)普通の男の子を演じていました。抑えた演技やしかめっ面が素敵だったサム・ライリーの出演作も、どんどんチェックしていきたいですね。ジョニー・リー・ミラーは嫌な男を演じさせたら踏みつけたいほど憎たらしい男になってそれがすごいと思いました。

2014/03/16

好きな俳優(Actors)

好きな俳優を集めてみました。オススメはかなり偏見が入っているのであしからず。立ち位置についても完全なる個人的見解なので変なのも入っています(え


マイケル・ファスベンダー
Michael Fassbender 
出会い:「エンジェル」
オススメ:「ジェーン・エア」「フィッシュ・タンク」はじめ全作!w
立ち位置:形容しがたいほどとにかく好きな人。あまり有名になってほしくないしできればもっとヨーロッパ映画で見たい人

ジェイミー・ベル
Jamie Bell
出会い:忘れた。意外と「ジャンパー」とかかもしれないw
オススメ:「リトル・ダンサー」(私のオールタイムベスト)
立ち位置:癒し。ときどき近況チェックしたい人

ジェームズ・マカヴォイ
James McAvoy
出会い:「ペネロピ」
オススメ: 「フィルス」 「ペネロピ」「つぐない」
立ち位置:大好きスコッツマン

マシュー・グード
Matthew Goode
出会い:「チェイシング・リバティ」
オススメ:「イノセント・ガーデン」「チェイシング・リバティ」「シングルマン」
立ち位置:隣に座って読書しててほしい人。目をあんまり大きく開けてほしくない人

ジョセフ・ゴードン・レヴィット
Joseph Gordon-Levitt
出会い:「(500)日のサマー」
オススメ:「(500)日のサマー」「恋のからさわぎ」「ルーパー」(ブルース・ウィリスのモノマネ的な意味で)あと今年のオスカー授賞式でエマちゃんとプレゼンター務めたところ
立ち位置:元理想の男性

ハミッシュ・リンクレイター
Hamish Linklater
オススメ:開拓中。「ザ・フューチャー」観たい!!
立ち位置:新・理想の男性??

マット・デーモン
Matt Damon
出会い:忘れた
オススメ:「リプリー」「ボーン」シリーズ
立ち位置:安心して見ていられる人

オスカー・アイザック
Oscar Isaac
出会い:「エンジェル・ウォーズ」
オススメ:「エンジェル・ウォーズ」のエンディング!!「ウォリスとエドワード」
立ち位置:キャスティングされてる映画はジャンル問わず観たいと思わせる人。また歌ってほしい人

ガブリエル・バーン
Gabriel Byrne
出会い:忘れた。「エンド・オブ・デイズ」の悪魔役かな?
オススメ:開拓中というか「ユージュアル・サスペクツ」さえ未見なんですが「アサシン」!
立ち位置:年いきすぎてるけどお父さんにしたい人

ゲイリー・オールドマン
Gary Oldman
出会い:忘れた。「エアフォース・ワン」かな?
オススメ:「レオン」「裏切りのサーカス」
立ち位置:近頃思わぬ映画に出ていて気になる人。けれどもその映画をことごとく見逃しちゃってる人

2014/03/08

29歳からの恋とセックス



邦題:29歳からの恋とセックス

ジョエル・キナマンめあてに録画したら思いのほか拾い物でびっくり!な恋愛コメディでした。でも男性受けは悪いかもしれません。

まずは、あまりしないストーリー説明をざっくりと。

29歳の誕生日を迎えた、作家志望の大学院生ローラ。画家志望の恋人のルークにプロポーズされ有頂天で準備を進めていたものの、結婚式を目前にしてフラれてしまいます。失意の底で励ましてくれた、ルークとの共通の友人であるヘンリーと友達以上恋人未満の関係になるものの、まだまだルークへの思いは捨てきれない様子。それはルークも同じよう。そして混乱しながらも、ローラは街で出会い電話番号を教えてくれた他の男性と肉体関係をもってしまいます。そんなローラの、次の30歳の誕生日を迎えるまでのふらふらした日常をユーモラスに描いています。人物のやりとりやセリフがいちいち面白くて、くすくす笑いながら鑑賞しました!

ジョエル・キナマンはこのルークを演じていて、ハンサムで成功していて料理も上手、という役柄。そのうえ性格もいい…という設定なのですが、正直よくわからない男でした。キナマンめあてに観はじめたのに、ヘンリー役のHamish Linklaterが素敵!と思ったり。私だったら間違いなくヘンリーを選びますね。ローラがやってしまったある事に対する反応が、失礼ながらかわいそうだけれども最高でした。

なんといっても見所は、ローラを演じたグレタ・ガーウィグの演技!ローラは本作では羽目を外しまくるのですが、そしてそれらすべて見ていてイタいのですが、巡り巡ってどこか痛快というかもはや爽快というか。そんなローラを体全体で演じているのがよくわかりました。全然知らない女優でしたが、他の出演作もチェックしてみたいです。見た目はアリシア・シルヴァーストーンや最近ではアンバー・ハードに似た典型的な美人顏で、長身で、本作ではいろいろなファッションを着こなしていてそこもまた観ていて楽しかったです。

こういうラブコメは、主要キャストが地味めだと楽しめるかもしれないとも思いました。思わぬ掘り出し物!と喜びもひとしおです笑 ローラの両親役でデブラ・ウィンガーとビル・プルマンも出ています。


(ここからネタバレです)




まあ、ルークは最終的に「よりを戻したい」と言うのですが、そのシーンは別になくてもよかったのかなと感じました。こういう展開の方が女の子からすれば溜飲が下がるのかもしれませんが。

ルークにフラれる→ヘンリーと付き合いだす→街で出会ったニックと肉体関係もつ→ヘンリーにバレてヘンリーとも別れる→ヘンリーが自分の親友アリスと付き合いはじめて混乱する、という、ほとんど自分が原因の辛い道のりを歩んできたローラ。時間をおき、人と距離をおき、自分はどうすればいいのか、じっくりと考えはじめます。そのうえで、しばらくは1人でも生きていこう、自分をもっと大切にし、まわりの人を愛していこうと決意します。「自分を愛せなきゃ人を愛せない」という台詞が印象的でした。このような過程があったうえでのあのルークとの最後のやりとり、ルークはローラの言葉を聞いて納得したのか何なのか目を合わせて微笑んだりなんかしてたのですが、彼、ほんとにローラが言ってることわかっていたのかな??やっぱりよくわからないキナマン…じゃなくてルークでした。

そして、こういう、大人になりきれなかった女性の成長の物語なのに…なのに…この邦題はやっぱりひどいです。邦題に躊躇せず観ましょう(笑)

2014/02/28

2月後半の鑑賞リスト タイトルと一言感想

「人生、ブラボー!」
カナダのフランス語圏の映画って新鮮。

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」
原作の洋書を読んでからと思っていたのについ観ちゃった。男の子の演技が説得力十分ですごかったです。

「トリスタンとイゾルデ」
王様が良い人すぎてそっちに惚れそうになった。ルーファス・シーウェル...

「アンナ・カレーニナ」
舞台みたいな演出は長引くとちょっと飽きた。アーロン・ジョンソンがかっこよすぎて彼のおかげで観られたようなものかもしれないです。

「レオン」
放送してたら何度でも観ちゃう。エンディングのスティングの曲が相変わらず素晴らしい。

2014/02/27

鑑定士と顔のない依頼人



めずらしく邦題の方が好みだったのでタイトルも邦題で!

原題:The Best Offer

無料優待券をもらったので、車で片道1時間かけて行ったことのなかった劇場へと足を運んできました。

この映画のことは先日まで全く知らなかったのですが、Twitterを眺めていてよく目にとまった不思議なタイトル。感想も何やら不穏な感じで…とりあえず事前にキャストだけチェックして劇場へ。ストーリーも特に知りませんでした。

始まってみると、もうスクリーンに釘付けになってしまいました。

鑑賞の最中に、「ああ、私いま映画みててすごく幸せ」とほんのりあたたかい気持ちになった映画は初めてでした。それも何度も、そんな感情につつみこまれました。

ストーリーについては触れませんが…ちょっと我慢できなくなったので、思うところを勢いにまかせて書きたいと思います。つまり何が言いたいのかというと、ネタバレです。

(ネタバレ含みます)
(観た人にしか正直何を言ってるのかさえわからないネタバレかと思います)



この映画には完全にだまされたというか…だまされることを楽しむことのできるかなり貴重な映画なのかもしれません。この映画のことは大好きになったけれど、Blu-rayを購入しようとかはあまり考えなくなりました。初めて観たときの衝撃やそれを越えての喜びに似た感情を経験することはもう二度とできないのです。それがなんだかちょっぴり寂しいような気もします。

映画で印象的だったのは、主人公ヴァジルが頻繁に口にしていたauthenticという言葉。簡単に言うと「本物の」という意味です。何度も何度も口にしていたので、この映画のキーワードの1つなのだと思い、観たあとはそう確信しました。

クレアとの、結果的には「偽物」にすぎなかった愛ですが、それは「本物」を愛し価値を認めていたヴァジルの心に、何物にも代えがたい永遠を残していきました。終盤からうかがえる、クレアの母親ではなく実は彼女自身を描いていたという点で「偽物」である例の絵画を、ヴァジルがずっと所有している様子もそれを示唆しているようです。

また、本作はハッピーエンドでもバッドエンドでもない、でもどちらかと言えばハッピーエンドなのかな?と感じました。鑑賞する私たち他人から見れば確かにかわいそうな話ではありますが、真相をつかんだあとのヴァジルの表情は空虚なようでいてどこか恍惚としているようにも。あの人はあれはあれで幸せなのかもしれないな、とすぐに忘れ去られてしまう噂話のネタにでもなりそうなお話です。

本物の美術品と共に、最高の映画体験をすることができました。絵画好きな私には特にたまらない映画でしたよ。

2014/02/23

2月前半の鑑賞リスト

最近ブログが使いにくいので画像も何もなしで見にくいけれども鑑賞リスト~

「スライディング・ドア」
(Sliding Doors. 1998. イギリス・アメリカ)
この映画のことは本当にずっと前から知っていたのですが、最初から最後まで観たのは初めてでした。

ふとした出来事がきっかけとなり、主人公の人生がふたつに分かれていきます。ふたつの人生は交互に描かれ、描かれた世界を「え、どうなってるの??」と思いながらも映画はそれには答えてくれず、ただ眺めることになりました。不思議な映画です。

本作のジョン・ハナがたまらなくいい!こんな男性がいたらついていきたいです。

「ヒース・レジャーの恋のからさわぎ」
(10 Things I Hate About You. 1999. アメリカ)
これは原題がいいですね...ヒロインの性格もよく表れているようで。
ヒース・レジャーのかっこよさに痺れると共に、やはり彼はもうこの世にはいないんだなあと思うと胸がしめつけられます。

突っこみどころは満載。特に話の大枠となる、可愛い妹は強面の姉がデートしない限りデートできない→妹とデートしたい男たち(約2名)が姉を誘惑するためにあの手この手を使う、という設定にはいつ観ても笑えます。そんなのいくらでも方法あるだろ!と思ってしまうものの、真剣な人物たちのあれやこれや、観ていて映画なのにどことなく舞台っぽくて好きです。

「天才マックスの世界」
(Rushmore. 1998. アメリカ)
出た出た、私の大好きなウェス・アンダーソン監督×子供!!

ジェイソン・シュワルツマンが出ていることは知っていたものの、まさか彼がその「子供」とは…。大人になってからの彼しか知らなかったので、初っ端からそれがすごく新鮮でした。

本作のビル・マーレイは素晴らしいです。マックスに何をされても彼を心から包みこむような存在感、もちろんそれが大きなテーマではないのですが。

もっと早くから知りたかった作品でした。

「ギャザリング」
(The Gathering. 2003. イギリス・アメリカ)
この映画の何が好きって...
設定:田舎町の地下で古い聖堂が発見される、謎のヒロイン(記憶喪失)、不思議な出来事
舞台:イギリス・グラストンベリー!!
出演者:クリスティーナ・リッチ、ヨアン・グリフィズ、スティーヴン・ディレイン!
どこからどう見ても平和なイギリスの田園風景、田舎町に、起こる不思議な出来事...ミスマッチなようでよくできた設定にわくわくします。
この作品でのヨアン・グリフィズはとにかくかっこいいです(結局そこでした)
イギリス製というのがこれでもかというほどに分かる、ちょっと安っぽくて野暮ったい感じのあるサスペンスです。振り返れば腑に落ちない点もあったりするものの、観たあとは心がどことなくひんやりとしてしまう不思議な映画。ラストには切なさもあります。あまり知られてはいないようだけれど私これ大好きです...オススメです!!

「デンジャラス・ビューティー」
(Miss Congeniality. 2001. アメリカ)
これはもう何度も観てるのでテキトーに書きますね笑
変身後のサンドラ・ブロックがムダ毛処理班とかスタッフ全員引き連れて歩くシーンと音楽がいつ観ても最高です。サンドラ・ブロックへの愛を再確認しました。ちなみに「2」は観ません笑

「告発の行方」
(The Accused. 1988. アメリカ)
アメリカで6分に1件起きている(制作年の1988年当時)とされるレイプ事件を扱った、かなりズシリと来る映画でした。

ジョディ・フォスターは本作で初めてのアカデミー賞を獲得しています。彼女とアカデミー賞といえば「羊たちの沈黙」(大好き!)が真っ先に思い浮かぶ私ですが、本作も観てよかったです。彼女がオスカーを本作で獲った決め手のひとつは、私が女性として、いえ人間として直視できなかった場面にあるのだろうなあと思いながら。

本作はアメリカが得意とする法廷映画のひとつとも言えるのでしょう。でも、双方が公平に描かれ、決して被害者側へと感情移入を促すようにはできていないことに気づかされました。特に、実際のところ主人公に何が起こったのか観る側にも終盤までわからないし、主人公がパートナーとなる検事補に隠していたことも数点あります。もちろん直接の加害者は明らかに悪いと思えるものの、他のまわりで見ていた人たちも本当に罪に問われるべきなのか?とふと思わせられました。だからこそ、最後は本当にどうなるのかわからなくて、観ながらも心臓がとめどなく揺れ動いた映画は久しぶりでした。

2014/02/15

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ


(Only Lovers Left Alive. 2013. アメリカ・イギリス・ドイツ)

緊張しながらの、初めて行く劇場での鑑賞でした。

☆鑑賞の決め手:ミア・ワシコウスカ!!(単純すぎw

ジム・ジャームッシュという監督のことさえよく知らずに、ただミアちゃんのためだけに観にいきました。

ヴァンパイアとして生きるアダムとイヴの物語。…と、今ヴァンパイアとして生きる、と言いましたが、特別な使命感とか宿命とかそういう熱っぽいのはなくて、闇に生きる、というかただ闇で過ごすヴァンパイアの日常を気だるげに描いてるような映画だと感じました。グラスで血を飲んだり、血でできたアイスバーをなめたりと血との関わり方はかなりスタイリッシュ、を通り越してシュール?

音楽が印象的です。特に、きっとほとんど全編に渡って鳴り響いてたのではというアダム作曲のもの。観終えた今となっては曲調は記憶の彼方ですが、もう一度聴いたら瞬時にすべて思い出せそう。

待ちに待ったミアちゃんの登場は突然でした。ミアちゃんはティルダ・スウィントン演じるイヴのトラブルメーカーの妹エヴァという設定で、彼女が自分たちと会いたがっていることを夢で知ったアダムもイヴもイヤそうな顔。それに反して、私はエヴァの登場を今か今かと待ち望んでいたわけです笑

ミアちゃん、本作では今までのイメージを思いきり覆すような演技を見せてくれました。笑顔で、飛び跳ねるようで、おそろしく甘えん坊なのでした…顔立ちもいつもと違って見えました。夢に出てきたら怖いかも!

本作、なんといってもトム・ヒドルストンがよかったです!
今まで私はあまり入れこんでいない俳優だったのですが、これから彼の作品も観ていきたいです。低くて冷たげな声が印象的でした。

ティルダ様は、トムヒとは20歳離れているようにはとても見えませんでした。親子といってもいいのに、まるで恋人同士!美しい2人の、ラストのアレには心から縮み上がりました。

2014/02/02

1月後半の鑑賞リスト

「ボルケーノ」「危険なメソッド」「マリー・アントワネットに別れをつげて」「シャンドライの恋」


「ボルケーノ」
(Volcano. 1997. アメリカ)

こういうパニック映画は別に嫌いではないけれどあまり観ないので、久しぶりにどこかわくわくしながら観ました。というか、観たことなかったの!?って言われそうですが、ある特定のシーンだけ観たことがあったことに途中から気づきました笑

それは、アン・ヘッシュ演じる地質学者が、飛んでくるマグマのかたまりに逃げ惑う人々に対して、落ちる方向をよく見るように、と大声で叫んでいるシーン。なぜだかわからないけれど、印象に残っていたんですよね。ところでアン・ヘッシュって、思いもしないところに出演していたりする女優さんですけれど、こういう主役級の出演作もチラホラあって油断ならないなあなんて思います。

流れてくるマグマってせき止めてから大量の水をかけるだけでどうにかなるものなの?ともちろんマグマを見たことがないながらもツッコミを入れてしまいました。人が巻きこまれるところなんて描写がわりとエグくて、観ていてお腹がきりきり痛みました。知らない人同士が協力しあって苦難を乗り越えるという、アメリカらしいパニック映画を久々に観たひとときでした。



 
              「危険なメソッド」
(A Dangerous Method. 2011. イギリス・ドイツ・カナダ・スイス)

これずっと観たかったんです! 理由はもちろんファスベンダー!
ちょっと禿げかかっているし眼鏡だし髭は生えてるし、ということで個人的にはビジュアルとしてはマイナス面がやや多かったものの(わがままw)、いざ観始めると気にならなくなりました。

むしろ、そんなファスベンダーより気になるのは、やっぱりキーラ・ナイトレイ。
最近「プライドと偏見」でただひたすらどこから見ても美しいキーラを堪能したばかりなせいか、よけいにあのシーンが気になりました。そう、顎!(詳しくは言いません)

内容自体は、心理学な苦手なせいもあってあまり頭に入ってきませんでした(え
フロイトとユングってそういう関係だったんだ...と勉強にはなったけれども。そしてユングには愛人がザビーナのあとにもいたのね...とあとから余分な知識を入れました。

あと、全然関係ないのですが、ヴィゴ・モーテンセンがヴィゴ・モーテンセンに見えませんでした。あの人、変装してた???鼻のあたりなんかが。

ファスベンダー出演作にお約束(?)のファスベンダーの(すがり&)泣きシーンは、やはり本作にもありました。...が、個人的にはファスベンダー演じるユングにあまり共感できなかったせいかそれほど胸には来ませんでした。でも彼の一挙一動に心の中で何度も叫ばずにはいられなかった...かっこいい!!!!(結局そこかい

さすが世界の美しい男のトップに輝いただけあります。
これからも期待してますよ!




「マリー・アントワネットに別れをつげて」
(Farewell, My Queen. 2012. フランス)

レア・セドゥに注目しはじめてから気になっていた一作。マリー・アントワネットものってどうせ結末は有名だしマリー・アントワネットに共感できないしで苦手だったのですが、本作は一味違いました。朗読係の視点から、アントワネットやフランス革命による騒ぎを描いていきます。なかなか見応えありました。

気になった場面だけ言っておくと、ゴンドラの漕ぎ手の青年がちょっとかわいそうでした。レア・セドゥは男に翻弄されることのない(そしてどちらかと言えば女性に翻弄される?)役がなんとなく似合いますね。ちなみにその青年を演じていた俳優は監督の実の息子だったみたいです。またどこかで見かけるでしょうか。



「シャンドライの恋」
(Besieged. 1998. イタリア・イギリス)
これは完全に、衝動的にレンタルしました。新作扱いだったので、聞いたことのない作品ではあったけれど新作なのかな?と思ってたら、もう15年近く前の作品でした。監督はベルナルト・ベルトリッチ。共演はハリポタのウィーズリー家のパパ役でお馴染みの(パパ役になる前の)デヴィッド・シューリスと、タンディー・ニュートン。

台詞はわりと少なくて、D.シューリス演じるキンスキーが演奏するピアノの音色が印象的です。重要な場面でスローモーションになるところなんて古風だなあとも思わされるのですが、そこはイタリアの町の雰囲気と相まって魅力的にうつりました。
 
特にラストの切り方が絶妙です。観てよかった。デヴィッド・シューリスの切ない表情が胸に来ました。

2014/01/18

1月前半の鑑賞リスト

新年からWOWOWではウェス・アンダーソン監督祭りがあり、何作か見逃してしまったものの以下の最初の2作品を観てその世界観にはまってしまいました。また、念願の「天使の分け前」も観ることができました!


「ムーンライズ・キングダム」 (Moonrise Kingdom. 2012. アメリカ)

ツイッターを見ているとなんとなく評判が良さそうで、だからこそ何の前情報もなく録画して観てみたらオープニングからどんどん引きこまれてしまいました。
カメラの回し方、タイトルの出し方、人物の画面上での配置のしかた、話の展開。映画製作のことはよく分からないけれども、撮っている側も楽しそう。

シュールな映画はもともと大好きなので、これも例にもれず。

キャストも豪華で、ブルース・ウィリスなんてこんな役今まであったっけ?と思えるような好演ぶり。その他も、エドワード・ノートン、ティルダ・スウィントン、フランシス・マクドーマンド、ジェーソン・シュワルツマン、ウェス・アンダーソン監督作に常連のビル・マーレイ。主役の子供2人は全くの新人なのに、彼らベテラン勢が脇を固めています。こういうキャストの構図もどこか好きです。

特にどんでん返しもなく、ラストの展開には思わず笑ってしまいました。主役の女の子のファッションがどことなくラナ・デル・レイを連想させて印象的。男の子は話し方に癖があって、風変わりな男の子をとても上手に演じていました。

こういう、テンポがゆるいながらも色彩がはっきりしてシュールな世界観をもった映画は実にアメリカらしいと思います。うまく言えないけれど、少なくともイギリス映画だったらぼんやりしててカサカサしているイメージ。どちらも同じくらい好きですが。


 
 
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」 
(The Royal Tenenbaums. 2001. アメリカ)
 
私にとってのウェス・アンダーソン監督作、第2弾。またまたカラフルでシュールな世界観を展開しています。
 
結論から言うと、「ムーンライズ・キングダム」とは違ってこの作品の人物にはあまり共感できませんでした。子供が中心となっている映画が好きなんだなあと思います。
 
まあ、それは個人の感想にすぎないわけで。オープニングから、これこそウェス・アンダーソン!と思えるような要素が散りばめられていて、「ムーンライズ~」を観た直後の身としてはわくわくせずにはいられませんでした。
 
この作品で個人的にツボだったのは、ベン・スティラー、ルーク・ウィルソン、グウィネス・パルトロウが兄弟を演じていたところ!(グウィネスは養女、という設定でしたが。あまりそれについては詳しく説明されていなくて、そこがまたいいなあと思います)
今では実現しないだろうなあ。それ以上に、この顔触れを難なく家族にしちゃうところがすごい。またそのグウィネスの夫役がビル・マーレイなのも笑えました(笑)そしてそして、ルーク・ウィルソンがすごく引き締まってて、マルーン5のアダムみたいに見えました(たぶん気のせい
 
先程も言ったように本作の人物やストーリーはあまり好きになれなかったのですが、グウィネスのファッションは一見の価値あり!かと思います。本当に可愛い。性格は意味わからないけれど。


 
 
「天使の分け前」 (The Angel's Share. 2012. イギリス)
 
このポスター!このテーマ!を見た日から気になってしかたがなかった作品。
人生で初めてのホームステイ先って、他人には理解してもらえないほど思い入れが強くなりますよね、自然と。スコットランド、また行きたいものです。
 
どうしようもないダメ男が一世一代の賭けにでる、という、話はありふれているものの描き方は面白かったです。主人公のロビーの詳しい事情や家族のこと、恋人との出会いなど、ほとんど詳しく触れられなかった点もなんだかリアルでした。
 
映画を観ながら人物のアクセントを聞くのが実は趣味の一つなのですが、本作のスコットランド訛りは正直すごくきつくて途中で酔ってしまいました(笑) 特に舞台はグラスゴー。グラスゴー訛りはきつくて速くて何言っているのかよくわからんwとエディンバラで会ったバスの運転手さんが言っていました。途中で出てきたワイン・セラーの男性はスコットランド人ではないのでしょう(ロンドンだったかな?)、英語が聞き取りやすく感じられました笑

彼らがやったこと、正直言って「それ、どうなの?」と思うこともあったものの、ラストは実に爽やかでした。スコッチ・ウィスキー、スコットランドで体験したときはなめることしかできなかったけれど、味のわかる大人になりたいものです!

ゼロ・グラビティ


「ゼロ・グラビティ」 (Gravity. 2013. アメリカ/イギリス)

卒業論文も無事に提出したので、先月から待ち望んでいた「ゼロ・グラビティ」をようやく観てきました。

★鑑賞の決め手:評判の良さ・圧倒的な映像美

珍しく、というかすごく久しぶりに吹替えで観たのですが、違和感はなかったです。むしろ吹替えでよかったのかもなと。初っ端から圧倒されまくりで、処理しきれませんでした(笑)

アカデミー賞でも作品賞ほか多くの部門でノミネートされましたね。
宇宙を再現したという点で「完全なる作りもの」である本作の受賞は難しい、と映画好きな大学教授が言っていたのですがどうでしょう。

<!ここからネタバレ注意!>

何と言っても、サンドラ・ブロック演じるライアンが地球への上陸に成功したあとの描写が秀逸でした。

ラストは本当に、それまでこの映画が描いてきた世界観を身をもって体験してきたからこそ見えてくるものを一気に、これでもかと見せつけられたような印象。地球に降り立ってからの描写はほんの数分...でもこれがなければ「ゼロ・グラビティ」はただのパニック映画だったのではないかと。

それより前の宇宙空間の描写は、本当に視覚的に訴えかけてくるようなものがありました。3Dであったから余計に、人物が宇宙空間でもがいているのにつられて自然と体が強張ったり、ときには宙に浮いたようになったり。息苦しくなったりもしました。

そしてラストでは、感覚的に、「重力って、地球って、素敵だ」と迫るようなものがありました。地面に手をつき、笑顔をこぼすライアンを見て、同じように文字通り地に足をつけているその自分の足が、じわじわと震えるようでした。

そこからの、

GRAVITY

とタイトルがどんと出てくる流れに胸がいっぱいに。映画、映像の力とはこういうことを言うのではないかと、その内容はうまく言葉にできないながらもそう確信しました。

これは機会があればまた観たいですね。
まだ観ていない人がいたら、ぜひ劇場で!と言いたいです。

ひとつ難点を挙げるとすれば、ライアンの亡くなった娘のエピソードはちょっとなあ...と。ライアンにとって宇宙から地球へ生きて帰るための動機としては、それくらいしかなかったのかなと思わされました。